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第228話 到着した病院でタバコを吸うかなめ

 島田を乗せた車が遠くで国立左倉病院の駐車場に入るのが見えた。


「それにしても、ここにバノンがすでに来ているんですか?それと執刀医のリチャード・クレメンスとそのスタッフも」


 そう心配する誠の手にかえでは優しく手を乗せた。


「安心したまえ。これはベルガー大尉のコネクションが効いてね。彼女と同ロットで製造された『ラスト・バタリオン』にエルマ・ドラーゼ警部補と言う東都警察第三機動隊の隊長が居る。彼女の部下がクレメンスの監視に張り付いてくれている。クレメンスは今朝5時に東都のホテルを出るとそのままスタッフを乗せたバスでそのままここに直行したそうだ。それとバノンもドラーゼ警部補の頼みと言うことで彼女やベルガー大尉にとっては先輩にあたる『ラスト・バタリオン』で現在県警の空港警備班に配属されている女性が有休をとってバノンの邸宅を見張ってくれていた。そちらの方もすでにバノンはこの病院に入ったとの連絡は受けている……すべては思惑通り……あとは現場を押さえてしまえば終わりだ」


 確信を込めた口調でかえではそう言って笑った。どこか含みのある自分の色香を相手に見せつけるために笑うような癖のあるかえでにしては無邪気に見える笑いに誠も素直に笑い返した。


「それでは入ります」


 リンはそれだけ言うと国立左倉病院の大駐車場に車を乗り入れた。多くの車が徐行して行きかう中、かえでの高級車はひときわ目立つ存在だった。


 一番奥の大型車も駐車できるスペースにリンは車を向けた。そこにはすでにカウラの『スカイラインGTR』とその隣でタバコを吸うかなめの姿があった。


 リンの見事な運転で一発でバックでの駐車が終わると誠はドアを開けて車から降りた。


「西園寺さん。病院の敷地内は全面禁煙ですよ。少しは遠慮してください。下手に目だったらすべてが台無しなんですから」


 思わず誠の口を出るかなめへの非難の言葉にかなめは殺気を込めた視線を送ってきた。


「はあ?いっちょ前の捜査官気取りか?アタシは非正規部隊で警察の捜査が生ぬるいままごとにしか見えないような資料集めやブツのやり取りの現場の場数を踏んで来たんだ。そんな間抜けなことする訳ねえだろ?」


 かなめはそう言うとタバコを投げ捨て車の天井を叩いて車内にいるカウラとアメリアに車から降りるように合図した。


「かなめちゃん、誠ちゃんの言うことの方が正解よ。それと……どうするの?確かに島田君が臓器の提供に同意する書面にサインをした段階でバノンは逮捕できるけどクレメンスの方は今の段階では任意同行くらいしかできないわよ」


 助手席から降りたアメリアは一同に目を向けてそう言った。その視線の先でかなめとかえでの姉妹だけは明らかに何か考えがあるというような顔で笑っていた。

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