第221話 目標接触、行動開始
二人の男は島田の前に立つと何やら会話を始めた。
「ははーん、あの二人島田君が底辺高出身の英語力ゼロの人間だって知らないみたいね……そんな急に英語で話しかけても島田君に分かるわけがないじゃ無いの」
島田の持っている携帯端末の収音マイクに接続しているイヤホンをしたアメリアがニヤけながらそうつぶやいた。
「いや、折衝担当はとりあえず島田を試したんだろ?早速携帯端末を取り出しやがった。まあ、アレがあれば連中の思い通りに島田をコントロールできると踏んでるんだ。東和では英語が通じねえことくらい連中も百も承知。そして、そう言う日本語の通じない相手には戸惑って我を忘れる東和の人間の行動パターンを読んだうえでああいった対応を取ってるんだ。たぶんあの二人は日本語は喋れるぜ……わざと島田をビビらせるためだけに英語を使ってるんだ。米軍の特殊部隊が東和で工作活動をするときよく使う手だ……当たり前すぎてあくびが出るぜ」
かなめはタバコをふかしながら明らかに英語を話す相手に困惑しつつ相手の持つ携帯端末からの音にうなずいている島田を見ながらそうつぶやいた。
「目的地は分かっているんです。ただ、島田准尉の能力を確かめる……おそらく二人で島田准尉が妙な行動をとった時は英語でバノンに指示を仰ぐことが可能かどうかを試したんでしょう。あ、歩き出しましたよ。左倉第一ホテルのラウンジは比較的広いので数人でばらけて入れば連中に気取られること無く監視を続けられます。皆さんもアメリアさんのようにイヤホンを付けて」
リンはそう言うと目立たないようにと言うことでいつもの執事服ではなく春らしい白いカーデガンの脇に下げたポシェットの中からイヤホンを取り出し耳につけた。
全員それにならってイヤホンを付ける。
『しかし、今回は当方のミスにより島田様には大変な思いをさせてしまって心苦しく思っております』
誠のつけたイヤホンからはどうやら二人の白人のうち背の高い方が言った言葉が聞こえてきた。
『いいんすよ……俺はこうして生きてる。バイクはあの場所から引き揚げた……あの事故もうちの隊の連中には俺が運転でミスったと教えてあるからアンタ等は関係ないことになってる……今のところはですがね。俺のヘルメットに付いてたドライブレコーダーにはアンタ等の信者がどういう運転をしてたかと言う記録はきっちり残ってるから、それをそのまま俺が上司に提出すれば……ね?わかるでしょ?』
島田の慣れたまるで恐喝まがいの口調に呆れながら、誠はかえでとリンの三人で島田をつけ始めた。かなめは一人目的地のホテルの裏口に向う。カウラとアメリアはこちらは誠達と少し離れて真っすぐホテルの入り口に先回りしていた。




