第220話 怯える島田。待ち伏せる女達と誠
月曜日の11時。
国鉄左倉駅南口改札口前に紺色のバイクスーツ姿の島田の姿があった。
明らかに不安に取りつかれた様に備え付けの灰皿に何度も吸っているタバコを押し付けて島田は周りを見回している。
「あの馬鹿……そんなに不安なのか?『不死身のヤンキー』の二つのは没収だな。あんなにビビってるのがまるわかりだったらあの変な宗教の連中もおかしいって一発で気付くぞ」
少し離れたコンビニの前でたむろして島田の様子を観察していたかなめはそう言ってこちらも苛立たし気にタバコをくゆらせていた。
「あのー、いくら暖かくなったと言ってもタンクトップにダメージジーンズなんていう格好で歩いている西園寺さんの方がよっぽど怪しくてバレると思うんですけど」
誠はいつもの定番のスタイルを崩さないかなめに向けて通行人が不思議そうに見て来るのを見ながらそうつぶやいた。
「大丈夫だ。サイボーグはこの国にも少なくない。アタシはサイボーグ。だからこんな格好をしている。この国のサイボーグたちもこんな格好で真冬でも歩いてるんだろ?」
かなめは得意げにそう言うが呆れてため息をついたのはカウラだった。
「この国のサイボーグの多くは民間人で、その義体は民間用のものだ。貴様の零下20度でも普通に活動できる戦闘用の義体とはわけが違う。当然寒ければ厚着をする。警察や公安機関のサイボーグもそれにならって寒さとは関係なく空気を呼んだ格好をしている。貴様のように空気の読めない人間はこの任務には不適切だな……帰れ」
冷たく言い放つカウラにかなめは食って掛かろうとするがそれをかえでが取り押さえた。
「お姉さまは本当に成長しないんですね。ただ、バノンが何の準備もせずに島田准尉を待ち構えているとは思えない。それ相応の準備……例の銃には見えない銃を持った護衛などに囲まれている可能性は高い。その際にはお姉さまにも活躍してもらわなくては困る……だから帰るのは止めてもらいたいですが……やはりお姉さまは空気が読めないようですね」
呆れた調子のかえでの言葉がかなめの怒りにガソリンを注いだ。
「かえで、オメエ最近本当に生意気だよな?アタシの所有物である神前にいつでも付きまとう。毎月恒例だったアタシによる調教も家臣にやらせると断ってくる。そして、今はこうしてアタシに指図をする。オメエは本当にアタシの性奴隷か?何ならその契約破棄してやってもいいんだぞ?」
得意げにそう言うかなめに対しかえではまったくの無表情で視線を誠に向けてきた。
「なんです?僕が何か……あ?あれじゃないですか?スーツの外人が二人、島田先輩に近づいて行ってますよ!」
誠はとりあえず仕事優先と言うことで女性陣の会話を無視する形で島田を見つめていたので、金髪の明らかに何かの格闘技の経験がありそうに感じる殺気を感じる二人の男がタバコをくゆらせている島田に近づいて行く様を見つめていた。




