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第204話 政治論……それがいつの間にか修羅場

「しかし、ひでえとこだなここは……どこもかしこも建設廃材の山ばかりじゃねえのか?許可取ってんのか?たぶん取ってねえな……あとで県庁に連絡を入れてやろう。まあ、どうせこの土地の持主は県会議員かなにかで県庁の役人は何もできずにお終いなんだろうがな」


 かなめは道の左右に並ぶ砂山を見ながらそんなことを口にしていた。


 誠も車外を見るが、砂山と小さな田んぼの繰り返される光景が広がっている。ここ5年ほど続く開発ラッシュで出た大量の建設廃材の行き場はここだったのかと誠はあきれ果てていた。


「所詮そんなものだよ。政治家と言うものは自分の権威を利益に変えることしか考えていない。その為に耳障りの良い言葉と意図的に利益を誘導することで票を稼ぐ。そうしなければそもそも選挙に通らない。民主主義の意たる必然と言う奴さ。甲武でも見た目こそ違うが同じ意味を持つ光景をさんざん見てきた。そして、行き着く先が今の地球で行われている国民が善意で選んだ一握りの超富裕層による寡頭政治だ。惟基父様は民主主義完全否定論者だからね……チャーチルは民主主義を『最低の政治形態』と呼んだが……その酷さがここにも表れているということだよ」


 かえでは笑うことなく延々と続く建設廃材の山を一顧だにせずそう言い切った。


「日野、言葉が不足しているぞ。チャーチルは『民主主義は最低の政治形態だが、人類がたどり着いた政治形態の中では一番マシな政治形態だ』と言ったんだ。そこまで言わなければチャーチルがヒトラーを打倒した意味が分からなくなる」


 そうかえでの言葉に注釈をくわえたのはカウラだった。


「ほう、ベルガー大尉。君も知っているのかい?なるほど、その知識の豊富さはその無いに等しい胸を補うものと考えている訳だ……僕のように大きすぎる胸を持つ人間としては羨ましい限りだ」


 誠はかえでの言う論点が少しずれてきていることに嫌な予感を感じていた。


「そうか、貴様は隊に来てから胸が若干大きくなっているからな。神前を見て発情して大きくなったのか?まるで下等哺乳類だな……汚らわしい」


 悪意を込めたカウラの一言だが、かえではまるで応えていないというように自分の胸に手を当てる。


「誠君に僕が発情している?それは誠君が魅力的であるということを君は認めたということだと受け取っても構わないのかな?確かに僕はいつも誠君を求めてやまない。そして僕は誠君の『許婚』だ。『許婚』がその未来の夫に発情して何が悪いのかな?きちんと説明してくれないかな?」


 かえでの挑発的な笑みにカウラは敵意をむき出しにした視線を送る。二人に挟まれている誠は三人を観察するために後部座席に身を乗り出してきているアメリアに視線を送るが、アメリアは二人の間に上がった火の手が燃え広がる事だけを願っているという表情をしているので誠は彼女に何かを期待するのをやめた。

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