表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
195/229

第195話 野球の名を借りたワンマン社長虐殺ショー

「タイムアップ!ゲームセット!」


 球審がそう叫ぶのを左バッターボックスで聞きながら誠は安堵感に包まれていた。


 試合はワンサイドゲームと言うよりほとんど『熊川運輸』のワンマン社長であるピッチャー熊川社長の虐殺ショーと化していた。


 1回の表の島田のどこの球場でも確実にフェンスを越えるような鋭い当たりの先頭打者ホームランで始まった『特殊な部隊』のホームラン攻勢は、二番のリン、三番のアメリア、四番の誠、五番の大野、六番のかえで、七番のカウラまで続いた。


 この時点で誰が見ても相手ピッチャーの熊川社長はバテ始めていたのだが、頑固で知られる社長はマウンドを降りようとしない。


 その後も八番パーラがセンタフェンス直撃の二塁打、打撃が苦手なアンが送りバントで三塁に送ると、また一番の島田がかなめのスクイズのサインを無視してホームランを打ち込む。


 この時点で熊川社長の球はバッティングセンターの小学校低学年向けの緩いストレートをど真ん中に投げるだけのマシンと同じようなものと化していた。


 幸いにもセンター前ヒットを打ったリンの後のアメリアが打ち損じてサード真正面に強いゴロを打ってダブルプレーで攻撃が終わったがそれが無ければいつ終わるか分からない自軍の攻撃に笑いが止まらないかなめを見ながら誠はただ苦笑いを浮かべるばかりだった。


 先発のパーラは。良くも悪くもない、いかにも彼女らしい投球で裏の攻撃は1本この狭い『豊川大日球場』ならではのソロホームランを打たれたのみで後続を断ち切り2回の表に続く。


 こうして『特殊な部隊』の永遠とも思える長い攻撃と、『熊川運輸』の瞬時に終わる攻撃と言う繰り返しの間に球場の貸し切り時間は刻々と過ぎて行き、三回の打者三順の猛攻の最中にリーグの規定による試合終了時刻となって試合は『特殊な部隊』の38対2と言うとても野球のスコアーとは思えない結果で『特殊な部隊』の勝利に終わった。


「よーし!これで勝ち点は同率一位!得失点差はうちがダントツの一位!リーグ優勝も見えてきたな!」


 一方的な打撃破壊によるワンマン社長虐殺ショーにかなめの機嫌は最高潮に達していた。


「しかし、貴様は本当に野球が好きなのか?10点差付いた時、ファーボールで出たアンに盗塁のサインを出した。野球のルールとマナーを覚えたばかりのアンですらアレは嫌がっていたぞ。23点差付いた時もリンにスクイズのサインを出した。アレはなんだ?申し合いは決まっているんだぞ?そんなに優勝がしたいのか?まったく手段を選らなばない女だ」


 ダグアウト裏でユニフォームを脱ぎながらカウラはかなめにそう声をかけた。


「リーグの規定で『勝ち点が同じ場合は得失点差で上回った方の順位が上位になる』と決まってるんだ!だったら点を取れると思った時は1点でも多く取りに行く!それが常識だろ?相手への敬意?試合を面白くするマナー?そんなもんなんでアタシが気にしなきゃなんねえんだよ。文句があるならそのリーグの規定を決めた奴に言え。アタシは悪くねえ!」


 女子部員の着替え用に借りてきたワンボックスの中で女性陣に無理やり拉致されて一緒に着替えている誠もそのかなめの滅茶苦茶な理屈には呆れるよりほかに無かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ