第191話 島田を突き動かすすべての原動力
「じゃあ!誠ちゃん!問題を出します!」
急に振り返ったアメリアは誠を指さしてそう叫んだ。アメリアの奇行には慣れている誠だが、あまりに突然だったのでとりあえず姿勢を正して椅子に座ったままアメリアを真正面から見上げた。
「島田君の一番好きなものは?さあ!答えて!」
アメリアの問いに誠は首をひねった。
「バイク……ですか?」
誠の答えにアメリアは心底呆れ果てたような顔をした。
「バイク?確かに島田君はバイク好き。でもそれは島田君の一番じゃないことはこれまでの島田君の問題行動に付き合わされてきた誠ちゃんなら分かるでしょ?はい、次!」
アメリアは次の答えを出すようにさらに右手の人差し指を誠に突き出してきた。
「じゃあ、サラさん?あの人『純情硬派』を売りにしているので……」
自信なさげにそう答える。島田の問題行動の際には大概誠と島田の彼女であるサラの姿があった。止める誠と面白がるサラ。これがバイクの窃盗や万引き、東和では珍しいカップルを見つけた時に男に喧嘩を売りつける島田の取る問題行動の現場ではよくある光景だった。
「違う違う!確かに島田君はサラとはすっかりバカップルだけど、それは島田君の一番じゃないの!島田君がそれを見ると目の色を変えるようなもの……そのためにはすべてをなげうってもいいと思っているようなもの……とくにとても遼州人とは思えない遼州人の特性からはみ出した行動をとる時の島田君のその切っ掛け……ここまで言えばいくら鈍い誠ちゃんにでも分かるでしょ?」
アメリアは今度は顔を突き出して誠の事をその糸目でにらみつけてきた。瞳が見えないほどの糸目なので誠には逆に不気味に見えた。
「そうですか……島田先輩の遼州人らしさを感じさせないほどのこだわりを見せるところ……もしかして……お金?」
誠は半分やけになってそう答えた。アメリアはここで満足げにうなずいた。
「そう!島田君はお金に弱い!『特殊な部隊』における最大の問題行動にして今の我々の生活を支えている『福利厚生予備費』を生み出し続けている『フルスクラッチガソリンエンジンスポーツカー密輸事件』。これにあれほど島田君が執着するのもすべてはお金のため!バイク?そんなのお金を出せば買えるじゃないの。サラ?サラと付き合うのにあの子の毎日変えて来るフリフリの私服を買うのにもお金が要る。だから島田君はいつも金欠。そして島田君の思いつくような副収入の収入源はその保護者であるランちゃんには全部お見通しでそのお金は全部ランちゃんに取り上げられる。ならば、自分の肝臓を売って金にしようなんてことを島田君が考えても不思議なことは何もないじゃない!それにどうせ島田君は不死人なんだから」
アメリアの指摘にかなめとカウラは手を打って納得した。かえでとリンはこれからの島田操縦法として利用しようとうなずいている。そして誠は自分をかわいがってくれている先輩の行動原理の基本が金であるという事実に絶望していた。




