第189話 三人娘の捜査協力立候補と難しい島田の拉致
「それより姐御!島田の件はアタシ等もそっちに回って良いか?茜とラーナはたぶん例の三谷の件でしばらく動けねえ。法術特捜はそっちの捜査で手いっぱいでアタシ等に仕事を振るような余裕はねえだろ?だったら……神前の野郎に変なことをしかねねえ小隊長に神前を預けとくってのは風紀の都合上問題があるんじゃねえのか?」
かなめは銃のマガジンを抜き差ししながら目も合わせずにランに向けてそう言った。
「確かにな。私達には当面するべきことは何もない。県警が手が空いていたなら駐車違反の取り締まりを手伝ってくれとか言ってくるかもしれないが、島田は隊の一員でその命がかかわっているんだ……我々が動かないで誰が動くというんだ」
端末を見つめながらそう言うカウラの口調にはどこか毒があるように誠には感じられた。
「まあ、島田君は何をされても死なないから別にいいけど……その島田君の肝臓をいたずらしたおかげで死人が出てその責任を取らされでもしたら面倒だしねえ……ランちゃん!私達もかえでちゃんに協力するわよ!」
誠の背中を叩きながら笑顔でアメリアは将棋盤を見つめたまま黙り込んでいるランに向けてそう言った。
「お三方ともご厚意はありがたいのですが……これは僕とリンにとっては初めての捜査なんだ。きっちりその任務は果たしたい……ああ、そう言えば肝心の島田准尉の予定を確認していなかった。クバルカ中佐、来週の島田准尉の予定はどうなっているんですか?」
かえではなんとか誠からかなめ達を引きはがそうという魂胆が見え見えの発言をした後、そう言ってランに目を向けた。
考え事をしていたランはその声にようやく我を取り戻し、端末を覗き見て隊員の予定表を見つめた。
「ああ、アイツは明日から隊に泊りで『武悪』の整備の指揮監督だ。明後日の午前中は西園寺がどうしてもって言うから野球の試合に出るが……それ以外はずっと隊のハンガーに居るか隣の工場の本部棟でその次の週の第二小隊の機体の搬入の段取りとかだな……つまりほとんど隊に居る……出かけるのは野球の試合の時だけ。『菱川重工豊川』の敷地から出る予定は一つもねー」
ランはそう言うと顔を上げ、かなめ、カウラ、アメリアの順で顔を見回した。
「姐御……一応、あのヤンキーもアタシ等の仲間なんだぜ?戦友がひどい目に遭うのを黙ってみていろと言うのかよ……酷い奴だな姐御は」
「西園寺。クバルカ中佐の言うように島田はあのバノンが手術を行う期間は常に我々の監視下にあるということだ。野球の試合の際はアイツのバイクの後ろにはサラが乗っている。それ以外の時間も常に隊員の誰かが奴のそばに居る。つまり、アイツを通常の手段……この前アイツを崖から突き落とした時のようなことは不可能なんだ。そう考えると……」
かなめとカウラは島田の拉致がほぼ不可能な状況だということで自分達の捜査協力への立候補がランに断られることを察して少し落ち込んだような顔をした。




