第188話 一つの事件が終わり……女達の戦いが始まる
「おう、戻ってきてたのか……ご苦労さんだったな、カウラ、西園寺……それとアン。もう出ないと夜間中学の授業に間に合わねーぞ。オメーは出動で欠席する可能性が高いんだ。出られるうちはちゃんと出ておけ……ってオメーにはその後のホテルでの彼氏との逢瀬の方が大事なんだろうけどな」
機動部隊の詰め所の扉が開かれ、ちっちゃな機動部隊長のランは入ってくるなり一同に向けてそう言った。
「分かりました!それじゃあお先失礼します!」
かなめの隣の席ですでに帰り支度を始めていたアンはそのままいつもの中にカラシニコフライフルの入ったトランクを手荷物とそのまま部屋を飛び出していこうとした。
そこに現れた大柄の女性にぶつかりそうになり、アンは急に足を止める。
「すいません!アメリアさん!カバンが当たったみたいですけど……大丈夫ですか?」
アンの言葉にアメリアは余裕の笑みを浮かべると小柄なアンの頭をポンポンと叩いた。それを見て嬉しそうに笑ったアンはそのまま更衣室へと走り去っていった。
「おう、アメリア。アタシの『関白』としての提案……あの二人の女はどう思ってる?」
かなめはいかにもすべては自分の手柄だというようにいつもの何を考えているのかよくわからない笑顔のアメリアに声をかけた。
「あの二人?最初は強情だったけど……あの、二人が追ってたシンディーさんだっけ?あの子が転んだと知ると急に態度が柔らかくなったわね。それにそのシンディーさんから昼前に電話があって……何を話してたかは知らないけどそれからは完全にこっちのペース。茜ちゃんの言うことにも全部答えてくれるしアメリカの法術関連の軍の極秘情報が持ち出された経緯についても色々とね……でも、不死人の女好きは隊長を見て居ればわかるけど一夫一婦制じゃ済まないみたいね……あの二人も田代と同棲する気満々みたいよ……誠ちゃんは不死人じゃないから誰か一人を選ばなきゃいけない……さあて、誠ちゃん……誰にするの?」
いつものように本題を軽く済ますとアメリアは真っすぐに誠に向けて歩み寄ってきた。
「そのようなことは決まっているんじゃないかな?僕と誠君は『許婚』だ。そして僕は男性に嫌われる要素が無い。誠君が僕を選ぶのは自明の理だよ……確かにそうすると僕の希望としても一夫一婦制にはならないと言えばそれまでだけどね」
アメリアの誠にしなだれかかる様を見てもまるで動じていないというようにかえではそう言った。
『まあ、かえでさんが変態でなければそうなんですけどね』
誠は心の中でそんなことを思いながらキーボードをたたく手に手を乗せてくるアメリアをひたすらうっとおしいと思いつつ苦笑いを浮かべていた。




