第187話 帰って来た誠達と解決済みの事件
誠達はその後、成畑赤十字病院、国際総合科学技術病院に寄った後、そのままタバコ臭い覆面パトカーを県警本部に返してそのまま隊に帰投した。
「あれ?西園寺さん、カウラさん……なんでいるんですか?」
誠は今は三谷で日雇い労働者の寝床に向う様子を見張っているものだとばかり思っていた二人がすでに機動部隊の詰め所に居ることに不思議に思ってそう言った。
「なんだ?いちゃ悪いのか?あんな事件アタシにかかればあっという間に解決だ……まあ、素人捜査官気取りのどこかの男女とその連れとは出来が違うんだよ」
いつも通り机で愛銃スプリングフィールドXDM40のメンテナンスをしながら得意げにかなめは席に着こうとする妹のかえでに声をかけた。
「さすがお姉さま……まあ、物事には順序と言うものがあるし、運と言う物もある。今回はたまたまお姉さまの勘が当たった……そして運にも恵まれていた……そんなところじゃないのかな?」
挑発的にそう言うかえでの態度にかなめは明らかに気を悪くしてふてくされたように乱暴に銃のスライドをフレームに叩きこんだ。
「え?もう解決しちゃったんですか?あれって一歩間違えば国際問題になりかねない事件ですよね……確かに車の中でかえでさんが感心したようにうなっていた時は何か動きが有ったんじゃないかなあとは思ってたんですけど……そんな簡単に行くものなんですか?」
誠はかえでの隣の自分の席に着きながらここは冷静に話をしてくれそうなカウラに声をかけた。
「今回ばかりは私も西園寺を褒めずにはいられないないな。非正規部隊での経験、国際知識に関するネットで調べた効果的な情報、そして人を見る目があれほど西園寺にあるとは私も思わなかった……たぶんもうすぐ大東署からアメリアが帰ってくる。嵯峨警部とラーナは泊まり込みになるだろうな。神前の言う通りさっきアメリアからの連絡で二人の女の取り調べ中にアメリカの連絡事務所の高官が怒鳴り込んできて、取り調べに同席していた嵯峨警部と東都警察の外事課の課長とかなり激しいやり取りをしていたが嵯峨警部に逆に脅されてすごすごと立ち去ったという話だ。西園寺の布石が無ければ恐らくはそのままアメリカの思惑通り違法逮捕と言うことで釈放と言う形になっていたかもしれないがその点は抜かりがないんだろ?」
カウラの言葉に誠は自分はと言えばただかえでとリンが立てた捜査プランに乗ってついて回るだけだった自分を恥ずかしく思っていた。
「誠様。ですが、誠様の助言のおかげで事は確実に進展しているんですよ。バノンの手術は間違いなく左倉国立病院で行われます……確かに施設はどこも来週一週間抑えられていますが……私の肌感……現場の雰囲気がそう教えてくれました。もし、ただそれらの予約情報をネットで調べるだけに終始していたらこの結論にはたどり着かなかったでしょう……現場で何が起きているのか。それを足を運んでみてみる必要性を私達に教えていただいたのは他でもない誠様です。誠様、もっと自分に自信を持ってください」
誠のそんな心を察したようなリンの言葉に誠は照れながらとりあえずメールチェックでもしようと端末を起動させた。




