表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 不死人と謎の教団  作者: 橋本 直
第三十九章 風俗街の守護神と『ビッグブラザー』 
182/231

第182話 風俗街の救世主だった『駄目人間』

「まあ、その晩は時美ちゃんと楽しむ……と言うか時美ちゃんがもう勘弁してくれって言うんで俺は中途半端だったけど終了して、翌日春子さんの家に行ったの。酷い有様だ、怒鳴り散らす春子さんの旦那を気どる若造、泣く小夏ちゃん、ただ俯いて若造に殴られた右頬をさする春子さん……俺の世界観が崩れた瞬間だね。俺は俺が殺した人間はそれなりに普通の暮らしをしてると思ってた。東和に来て中華屋のテレビのニュースで見るのはタダの例外だと思い込んでた。でもそれが目の前に有るんだ……」


 嵯峨の口調が急に暗くなった。


「俺はその場で若造の襟首を締め上げて二度とこの部屋の敷居をまたぐなと言ってやった。なんでそんな権利があると言いやがったから俺は弁護士だからお前さんの言う権利とやらがいかに根拠のないものか証明できると言ってやった。その言葉に男はビビって逃げ出した……まあ、その後も何度も俺も前に現れては包丁とか拳銃とか持ち出してきたけど所詮は素人だものね。俺に勝てるわけがねえや。それで春子さんは救われたが……この街の本質は何も変わっちゃいないことは分かっていた。しかも、そんな目立つことをしたもんだからお前さんが言う『任侠の面汚し』連中は法術師を俺にぶつけてきた……俺はお前さんの知っての通り瞬間転移ともう一つしか法術らしい法術は使えない……逃げることはできるが逃げてちゃ問題は何の解決もしないんだ」


 そんな弱い笑みを浮かべる嵯峨にランは優しい笑みを返した。


「そこで時美ちゃんの出番だ。行っとくけど、時美ちゃんは法術師の中ではたぶんお前さんも一目置くほどの素質があった。俺は西園寺御所でかえでの稽古を見る機会があったが……時美ちゃんの素質はその上を行く。しかも、不死人。年も取らなきゃ死ぬこともない。俺は時美ちゃんに力の使い方を教えて吉原の大掃除を始めた……俺の前にただのヤクザの鉄砲玉が来れば俺が『粟田口国綱』で切り伏せ、パイロキネシストや法術弾を使うような相手には時美ちゃんが当たる……良いコンビだったんだぜ。その間も東和警察はやくざ同士の抗争で風紀が改善されるもんだと踏んで俺がみかじめ料を違法に巻き上げてたやくざの連中を突き出しても一言礼を言ってお終いだ。連中には人間の命よりも社会秩序と言うものが大事らしい。社会秩序ってもんは人間を生かすための道具だろ?そんなことも連中は理解していねえんだ……そうしてあの街の掃除に2年かかった。やくざはみかじめ料を諦め、警察はなんとか治安維持の巡回をはじめ、それまで不死人の女の子は普通の女の子の3割しかもらえなかった取り分を同じにしてやった。まあ、そのことで今でも俺を恨んでるやくざや風俗店の経営者は居るが……いつでも俺や時美ちゃんが相手してやると言ったから。今んところ俺の所にも時美ちゃんの所にも来ないってことは懲りたんだろうね」


 嵯峨はタバコを噴き上げながらそう言って笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ