第174話 女の選択、『殺生関白』の慈悲
「その顔……私の答えはもう出てるってわかってる顔よね?」
そう言うとシンディーはかなめを見て笑い、そのまま視線を田代に向けた。
見つめあう二人。シンディーはそのままバスローブに手をかける。
「だろうな……オメエに判断能力があるなら……そして、アタシが思った通りの地球人ならそう言う結論を出すだろうとは思ってた……」
かなめは安心したようにため息をつくとポケットから新品の携帯端末を手に入れた。
「おい、田代。終わったらこの端末でアタシに連絡を入れろ。色々と打ち合わせをしたいことがある……それにその姉ちゃんにも仲間達がどんな運命をたどるのか教えておいた方がいいからな……この女の提供する情報次第ではあのオメエの選ばなかった女も母国で地獄を見ることが無くなる可能性がある……保証は出来ねえが、それくらいの事しかアタシには出来ねえよ」
そう言って端末を手に取る田代にシンディーは抱き着いてきてキスを交わす。
かなめはにんまりと笑い、カウラは苦笑いを浮かべた。
「分かってるよ……俺も元特殊部隊で潜入浸透作戦に従事していた人間だぜ……そんな人間の出来ることの限界位十分わきまえて。そしてこうしていい思いを出来るんだ……まったく長く生きてると世の中何が起こるか分からねえと身にしみてわかるよ」
一度、シンディーとの舌を絡めあっての甘いキスを中断した田代はかなめにそう言うと今度はシンディーの身体に手を回した。
シンディーは田代のすり切れた作業着のボタンを一つ一つ外していく。
「分かれば良い……後、シンディー。コイツは普通の人間じゃなくて不死人だからな。その精力はオメエの予想してたののはるかに上だからオメエの身体が心配になってくるわ……アタシの叔父貴は女が三人いるがその三人の女も叔父貴相手じゃとてもついて行けねえからあと五、六人女を用意してくれとか抜かしてやがる……不死人になる前に腹上死とかしないでくれよ」
かなめはそう言うとキスと抱擁とお互いの身体をまさぐりあうシンディーと田代に背を向けて部屋を出た。カウラもまた無表情を装ってその場を立ち去る。
「いいのか?あんなことを言って……貴様は今回捕まった二人の女の減刑をほのめかした。しかし、東和の裁判官の地球人への判決で情状酌量により減刑が行われた例はこれまでないと聞いているぞ……遼州人はどこまでも地球人には悪印象しか持っていないからな」
心配そうにそう言うカウラを業務用エレベータに向う通路を歩きながら余裕の表情でかなめは振り向いた。
「なあに、アタシは甲武国の最高権力者の『関白太政大臣』なんだぜ?連中には東和警察とのお話の最中にそのことで脅して東和警察とは司法取引をしてもらう……そしてアタシから東和共和国大統領には書簡を出しとく……まあ、シンディーの協力次第だが、内容によっては起訴猶予で釈放。そして同時にあの二人はアメリカから東和に亡命……そこまでがアタシのシナリオだ。まあ、それを上手く演じてくれるかはあの二人のこれから次第なんだがな」
笑うかなめの言葉を聞いてカウラもまた微笑みを浮かべた。
こうして一つの事件が終わろうとしていた。




