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第173話 小さな宇宙最強国家の守り

「米軍が宇宙最強?確かにな、実績的にはそうだ。でもこの東和……特に宇宙軍は戦争をしたことの無い軍隊だ。その東和宇宙軍が本気になれば……オメエも知ってるだろ。東和宇宙軍の電子戦専用飛行戦車の威力とやらを……地球圏がいまだに開発に成功していない『アナログ式量子コンピュータ』装備のアレの仕掛けるECMの範囲内の範囲内の地球圏のすべての兵器はタダの鉄くずとなり、それに乗ってる兵士達は数分で窒息死……大気圏なら戦闘不能になる……地球が東和に征服されないで済んでるのはこの国の憲法の絶対に戦争をしないという条文が一行ある……それだけの理由だ。もしそれが無ければ地球人はとうの昔にこの東和列島のとなりの遼大陸で起きたような奴隷的境遇での扱いを受けていただろうな……」


 かなめはそう言ってニヤリと笑った。


「なあに、オメエの聞きたいのは身の安全であって国家の安全ではないって?知ってるよ、そんなこと。そして東和がこの宇宙で独立と非戦を貫いてきたもう一つの理由が公安調査庁の存在だ。連中はこの国だけではない。全宇宙の接触可能な情報のほぼすべてを網羅している。どの国の政治家がどんな冗談で東和の人間を馬鹿にしたかまできっちり記録に残ってて、それが脅威になると判断すればその人間にはこの世から消えてもらう……そうしてそもそもこの国に脅威を与えようなんて考える人間自体が生まれなくなった。ただ、今回のあの女はその情報網を上手くすり抜けてお前さん達をこの街に送り込むことに成功したらしいや。だから、今でもアンタはこうして生きている……そしてオメエの飼い主が死んだという話もアタシは聞いていない。この国の脅威になる可能性のある不死の政治家なんてものはこの政府の情報管理をつかさどる公安調査庁にとっては脅威以外の何物ではない……よくもまあ、これまで連中に情報が洩れなかったかのかアタシも不思議なくらいだ」


 そう言って笑うかなめの鉛色の瞳にシンディーは首をすくめた。


「恐らく、田代に選ばれなかった二人が東和警察に身柄を拘束された時点で公安調査庁は地球人女性に不死人になる可能性がある人物がいることを知っているレベルの人間に対する監視を強化するだろう。そうなればオメエの飼い主さんがオメエの不始末の尻拭いの為にオメエを消しに来ることはほぼ不可能だ。米軍に関しても同様。米軍がその情報を地球圏でほぼ独占していることは法術に関する犯罪の柄一派尻しかしていないアタシでも知ってることだ……米軍が攻撃的な意図をもってオメエと田代に接触してくる以前に公安調査庁はその妨害にサイボーグの攻勢の特殊部隊員を派遣してその意図を完全に破壊する……まあ、その頃にはオメエも田代と同じ不死人になってることだろうから別に槍や鉄砲を怖がる必要なんて無いのかもしれねえがな。地元の警察が迷惑がるからそんな事態は起きねえに限る」


 そう言ってかなめは冗談めかしたように笑った。その笑いにつられて隊のない笑いを浮かべるシンディーを見てカウラは彼女が次に何を言い出すかおおよその見当がついて同じく笑みを浮かべていた。

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