第168話 念入りに準備を進める女と男と闖入者
「しかし念入りにどこを洗ってるのかねえ……まあ、あのアマも一日も早く自分が不死人になりたくて仕方がねえんだから。その為に必要な場所にオメエのアレをたっぷり注いでもらうための場所を念入りに……おい、オメエは服は脱ぐなよ。アタシ等がここに居るんだ。それとシンディーとか言うアマの決断次第でオメエはあの女を抱けなくなる。久しぶりに女を抱きたいんだろ?アタシ等も手短に用件は済ませるつもりだから安心しな。それとこの部屋は6時前には出た方がいい。おそらくその時間にはお巡りさんがこの部屋にやってくる手はずになってるからな」
そう言いながらかなめはシンディーの厚手のコートの下から目立たないデザインのホルスターと小型拳銃を見つけたが、すぐにコートの下に隠した。
「そりゃあ残念だねえ、……おれは明日の今ぐらいまで楽しもうと思ってたんだが……それにあの子にも俺にはそれくらいの事は簡単だと言ってやったら自分の身体が持たないとか言って照れ笑いを浮かべて鼻歌交じりに服を脱いでたのに」
田代はそう言うとかなめに手を差し伸べた。かなめは少し躊躇した後、自分のタバコとライターを田代に手渡した。
慣れた手つきでタバコに火をつける田代を見ながらカウラはしきりとバスルームの扉を気にしていた。すでにシャワーの音が止んでから一分が過ぎようとしていた。
「おい、処女。あの女はこれからの事が楽しみで準備を進めてるんだ。手を出すんじゃねえぞ。シンディーはたぶんこいつがすでに服を脱いでいつでもシャワー室に入り込んできていいようにお待ちかねなんだが……現実はそうは思うようにはいかねえんだな。田代さんよ、あの女は相当遊んでるみたいだぞ?それでも良いのか?」
タバコをくゆらせながらかなめは余裕の笑みで隣で久しぶりの重いタバコのニコチンに目を白黒させる田代をのぞきこんだ。
「なあに、不死人の精力は普通の人間の比じゃねえんだよ。あの女が遊んでる?別にそんなの気にしねえよ。それに正直、もしこの街をあの女と出ることが出来たらあの女は逆に俺に別の女が必要なほどだってわかるんじゃねえかな?」
田代は得意げにそう言うとかなめの愛飲するタバコであるコイーバクラブが合わなかったというように半分以上残してそれを灰皿に押し付けた。
「だろうな。アタシの身近にも不死人で絶倫の『駄目人間』がいるが、そいつも女が三人いてそれでもあと五人は欲しいとか抜かしてる。実際、週末はその三人を相手にして足腰立たなくなるまでするのが日課なんだそうだ……あんな暮らしを続けてたら女に逃げられるぞ……叔父貴の奴」
かなめはそう言って田代の顔を見て自分の身近にいる普通の地球人には考えられない精力の持主である嵯峨の事を思い浮かべていた。




