第162話 動き出した作戦
その時、かなめのジャンパーのポケットの中の携帯端末が震えた。
すぐさまそれを取り出したかなめが目にしたのは満面の笑みのアメリアの顔だった。
「なんだよ、アメリア。脅かすんじゃねえよ。それに時間が予定より早いぞ。『今度の試合こそ四番を打たせろ』とでも言いに来たのか?」
かなめは不機嫌そうにアメリアに向けてそう言った。
『だって三人が別行動に移ったら連絡して来いって言ったのはかなめちゃんじゃないの。早速、連中別れて行動を始めたわよ。さすがに何度もここにきてここの状況は理解してきたみたい。とりあえず、かなめちゃんご指定の子は街の中央に向ったわ。昨日もかなめちゃんが飲んでた立ち飲み屋のあるところ。あとは上手くやってね』
そう言うとアメリアは通信を切った。かなめの目に自然と笑みが浮かんでくる。
「聞いたか?田代。オメエのご指定の子は向こうからこっちに向ってきているようだ。あの店の周りなら待ち構えていても奴には気取られねえ。とりあえずあの店の前を行ったり来たりしてろ。そこで奴がお前さんに食いついたら手筈通りにアタシ等がオメエを連れてきた車のある通りまで女を誘導する……そして女は三つほどそれなりにいいホテル……連れ込み旅館でもラブホテルでもないそれなりの格のホテルだぜ……そこにタクシーで乗り付けるだろうから、そこでうまい事女とお話をして頃合いを見て車の中で手渡した小型通信機でアタシ等に連絡を入れろ……気取られるなよ……オメエは不死人だから死なねえが奴は銃を持ってる。痛い思いをしたくなければうまくやれ」
かなめは鋭い目つきで田代をにらみつけながらそう言った。
「おいおい、誰に向ってそんなこと言ってるんだ?俺は遼帝国独立の影の功労者だぜ。そんな事は言われなくても十分わかってるよ。それより俺が英語が出来ることが分かるのはどのタイミングが良い?すぐに英語で話しかけるか?それともタクシーの中でか?」
そんな田代の問いにかなめは満足げな笑みを浮かべた。
「さすがにアタシの選んだ協力者だ。良い質問だ。英語が出来るのが分かるのはホテルの部屋についてからが良いな。出来れば、部屋についてお互いに世間話を始めた瞬間に英語で話しかけてやればいい。アイツの飼い主は南部出身だから南部訛りの英語なんて使えると最高だな……あの女はすぐに服を脱いでシャワーを浴びるとか言い出すぜ。久しぶりだろ?女の裸を拝むのは」
そう言って下卑た笑いを浮かべるかなめに田代も卑猥な笑みで返す。そんな二人を飽きれたような様子で見つめた後、カウラはそのまま自分の目立つエメラルドグリーンのポニーテールを気にして二人から距離を取って歩き始めた。




