表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/233

第157話 すべての準備が整った後で

「じゃあ、行くぞ。時間だ」


 そう言ってタバコをポケットにしまうかなめを見て、カウラと田代は立ち上がった。


「会計は私が済ませておく……その間にアメリアと茜に連絡しておけ」


 カウラはそう言い残すとレジに向って歩いて行った。


「しかし、アンタはタダの警官じゃねえな。さっき自分で言ってたじゃねえか。非正規部隊出身だって。何もんだ?アンタ等」


 田代は周りに聞こえないように小声でかなめにささやきかけた。


「なあに、さっき話題に出てきた『近藤事件』を起こした張本人。司法局実働部隊の隊員だ。今回はその併設捜査機関である法術特捜の任務で地球圏に不死人を拉致しようとしている野心家の政治家一家のご令嬢のおいたを阻止するのが目的ってわけだ」


 そう言うとかなめはそのまま店の古びた扉を開けた。


 空はどんよりとした曇り空だった。空気は冷たいが風は感じられなかった。


「どうだい、髭の無い顔で春の風に久しぶりに当たった気分は?上手くいけばオメエはこの街を出ていわゆる世間並みの幸せに巡り合うことが出来るかもしれねえ。まあ、あんだけ地球圏やゲルパルトの映画スターみたいなカミさんが持てるんだからそれ以上かもしれねえがな」


 かなめのそんな皮肉に田代は頭を掻いて何も答えなかった。


 その時かなめの携帯端末の着信が鳴った。


 端末を取り出すとそこにはアメリアだけでなく、司法局の制服姿の茜とラーナの姿もあった。


「おい、茜。その姿はまずいぞ。尾行はアメリアに任せろ。茜とラーナはアタシが良いというまで出て来るなよな。こっちの首尾が上手くいくまで例の二人から目を離すな。そっちの二人には臭い飯を食ってもらう予定だが、狙いの女には望みの不死人になるという特典と幸せな家庭と言う物を用意してやる。アタシの関白就任祝いだ。気が利くだろ?」


 笑みを浮かべるかなめに画面の中で端末を手にしているらしいアメリアがにんまりと笑う。


『やっぱり、そのエサというのもこの子を選んだのね……確かにこの子が一番遼州人や甲武人には人気がありそうだもの。他の二人はゲルパルトや外惑星なら男は黙って無いかもしれないけど……まあ、いいわ。とりあえず、このボブカットの子を出来るだけ引き離して行動させるように仕向けるつもりだから。引き離したところで連絡を入れるから、タイミングを計って二人でそのエサに接触させるように仕向けてね……絶対にこの子にこれが罠だと悟られたら駄目よ。今はこの三人は銃器の不法所持以外の犯罪は犯してないんだから。その状態で逮捕してもあのお嬢様は代わりの人間を送ってくるだけ。鼬ごっこだわ』


 アメリアの言葉にかなめは分かり切っているというような顔をして笑った。


「なあに、アタシの見立てよりこのエサはそう言うことには長けているらしい……見事な演技でアタシ等の手柄に貢献してくれるだろうさ」


 自信ありげなかなめの態度を見ると安心しきったようにかなめは通信を切った。


「行くぞ、オメエと、そのオメエが選んだ女の未来のためにな」


 そう言うとかなめは田代とカウラを連れてそのまま三谷の街へと歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ