第143話 金への執着を持たない不死人達
「どちらにも最近どう見ても日雇い労働者にしか見えないやけに羽振りの良い客は出入りしていないというわけですのね」
少し落ち込んだ調子で茜は時美からの説明を聞き終えてため息を漏らした。
茜の読みでは三人のアメリカからの不死人を拉致する目的で来た女達は三谷の不死人を高い金で買ってとりあえず自分達が不死人になってから本当の仕事に入ると読んでいた。
そのために日雇い労働者が考えられないような金を払い、そしてその男はその金でこの街で豪遊するに違いない。
三谷の街の労働者の行動パターンはこの街で育った茜には手に取るようにわかるつもりでいたが、事実はそうなっていないということが分かり茜は捜査方針を変えるかどうか悩んでいた。
「茜ちゃん。茜ちゃんから聞いた話だとその三人の目的は三谷の不死人に抱かれて自分達が不死人になった後、自分の飼い主にその男を献上するって言うことなんでしょ?だったら、その三人のカモになった不死人はそれこそ女にはうんざりするほどの目に遭ってると思うわけよ。そんな奴がここに来てまで女の子にちやほやされたいと思う?確かにソープとかは行かないかもしれないけどキャバクラとかで豪遊する。確かに考えられない事では無いけど、見せてもらった三人の女。白人女なんかに慣れ切ったその男はキャバクラ嬢程度じゃ満足しないわよ。それに、最近じゃあ、そのキャバ嬢にも不死人が混じってるんだもの。同じ不死人同士身の上話でもするわけ?」
時美は呆れたように茜に向けてそう言った。
「でも、三谷の人達が貯金をするなんて考えられませんわ。銀行に行っても住所が無いから通帳も作れない。それに彼等は東和から出られないと思っているからその札束……まわりのお金のない人達にいつ取られるか気が気でないはず……すぐにお金を使うならこの街だって踏んでたのですけれども……」
そう言う茜の言葉に自信がなくなっていくのが隣に座るラーナには心細かった。
「でも、時美さん。この辺でギャンブルのやるところってあります?隊長はオートレースをやりますけどギャンブルならすぐにお金を使い果たせますよね?」
なんとか話題を変えようとラーナは明るくそう言ってみた。
「ラーナさん。さっき身の上話で不死人しかいない村の生まれだって言ってたけど、不死人とお金の関係についてはあなたは何もわかって無いのね。この街の子も、三谷の不死人達もお金を増やすことなんて考えて無いのよ。増やしたって何時かは無くなるのがお金。私もそう。確かに、さっき茜ちゃんが行ってた高級店のトラブルを解決するとそれなりのお金がうちの事務所にも入るけどそんなのいつか消え去るからそん時は惟基先生を読んで村上ちゃんと春子ちゃんで豪遊しちゃうのよ。だから私は宵越しの金は持たないし、金が増えるギャンブルのは興味なんかない。惟基先生のギャンブル好きはあの人が軍人だから……あの人は常に自分の価値をその運に賭けている。それがあるかどうか見定めるためにギャンブルをする。惟基先生は私の会った不死人の中でも一番お金への執着がないからそんなところなんじゃないかしら?」
時美の言葉にラーナは自分のアイディアを潰されて不機嫌そうな顔になった。




