第142話 かなめの仕掛けた罠
「気に入ったみてえだな。アイツがオメエを気に入るかどうかはオメエのこの街にすりつぶされなかった精神力とその度胸、そして……これがあるからその女は間違いなくオメエに惚れるんだがそいつによってオメエのものになる可能性がある。そして、そうなればオメエはこの永遠の牢獄みたいな街からそいつに連れ出されて逃げだすことが出来る……まあ、オメエは結構口が立つみてえだからその辺はアタシは心配しちゃあいねえがな」
かなめはさっぱりとした普通の建設労働者と言った姿になった田代に向けてそう言った。
しかし、田代はけげんな顔をしてかなめと隣で不思議そうな顔をしているカウラに目をやった。
「ここまでしてくれるのはうれしいし、それにその話も悪い話じゃねえ。だが、いつでも言うだろうが……悪い話には裏があるって。アンタ等何者なんだ?なんで俺にこんな話を持って来た。それが分からなきゃこの話には乗れねえな」
田代の問いにかなめは満足げな笑みを浮かべる。
「なあに、その女はアタシの仕事上の面倒な相手でね……そいつ等はあの町に住んでるアンタみたいな不死人を探している。しかも連中の好みはかなりうるさい。オメエぐらいに面が良くて口の立つ人間じゃなきゃ嫌だとぬかしやがるんだ。ただ、そのえり好みがアタシ等の仕事には好都合だった。これを見りゃオメエさんぐらい世間を知ってる人間ならアタシ等の狙いが推測がつくだろ?」
かなめはそう言うと身分証を取り出して田代に見せた。司法局実働部隊の身分証を見て田代は一瞬怯んだ後、不思議そうな顔をしてかなめと同じく身分証を取り出して見せているカウラに目をやった。
「司法局……なるほどね。法術がらみか……俺も不老不死と言う法術師だからな。でも、それ以外の力なんてねえぞ。それにこの不老不死はほっといてもそうなだけであってパイロキネシストや瞬間転移みたいに意識して使えるもんじゃねえ。時々、落ちてる新聞とかで見る『違法法術行使罪』には当たらねえと思うがね」
田代の言葉にかなめは静かにうなずいた。
「そうだ、オメエは何にも悪くねえ。悪いのはこの女だ。法術師をその能力を悪意ある目的でこの国から拉致すると『違法法術行使準備罪』と『誘拐罪』が課せられることになる。この女達が三谷の街でやろうとしていたのはまさにその犯罪だ。オメエにはアタシ等がこの女達のその犯罪を未然に防止するためのエサになってもらう。ただ、オメエも警察に利用されるだけってのも気分が悪いだろ?そこでこの女をオメエにくれてやる。他の二人はその罪で逮捕して牢屋にぶち込む。それがアタシの決めた捜査方法だ」
かなめは強い調子でそう言うと呆然と立ち尽くしている田代を見上げた。




