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第136話 知らないところで愛に疎い遼州人の美女からもモテていた誠

「でもまあ、『近藤事件」のおかげで法術師の存在が明らかになった。そして、この街でも法術師の女の子も普通に死ぬ女の子と同じお金を貰えるようになり……それが逆に『永遠の美女』とか言ってもてはやされてるのよね……実際、私にも何件か誘いがあったのよ。『アンタなら3億は出す』とか言った店もあるのよ……まあ、そこの店は実際ナンバーワンの子は3億くらい稼いでいるらしいわよ。指名を取るだけで200万。1時間100万とか言ってたから。世の中お金持ちは居るものよね……何が格差の無い国東和よ」


 時美はなんとか本題に話を移そうとする茜を無視して話を続けた。


「いい加減本題に……」


 茜はキレかけてそう言うが時美はニヤリと笑ってそれを無視する。


「その店ね……『ネバーランド』って言って。この吉原でも新興のやり手の店なのよ。まるで『近藤事件』を読んでいたかのようにきれいな不死人の女の子を事件当時にはすでに取り揃えていて、この東和までやってくる地球人をメインに荒稼ぎをしてるわ」


 その言葉を聞いた時、ラーナが横目を見ると茜の顔がそれまでのうんざりとした表情から警察官のそれに変わった。


「地球人しか入れないわけね、その店は。でも、こんなに地球から東和入国までに1億円もかかるところにわざわざ来る地球人がどれほどいるのかしら?」


 その言葉に時美は笑顔を返す。


「東和人お断りと言うわけでは無いみたいよ。この国で急に金を持つと地球に憧れるみたいなのよね。東和人の新興成金とかが結構出入りしてるわね。5年前。前の戦争の地球圏の戦時国債の償還で巨万の富を築いた連中が結構そこを御用達にしているのよ」


 20年前に終結した第二次遼州大戦では東和共和国は甲武・ゲルパルト・遼の先制核攻撃で瀕死の状態にあった地球圏がその軍備再建のため無制限に戦時国債を受け入れる東和の支援により勝利したというのが東和では常識だった。


 5年前その国債の償還期間が切れ、破格の利率で発行された国債を手にした東和人は地球圏から平時では考えられない利益を得て一気にそれまでの不景気が吹き飛び好景気に沸き多数の成金が生まれた。


 ラーナもこの街の一部の高級店の考えられない値段をみてそんなことが原因なのだろうと薄々察していた。


「そこでのナンバーワンの女の子なんだけど……この写真を見て」


 時美は脇に下げていたポーチから携帯端末を取り出すと画面を広げて見せた。


 そこには20歳程度の十分一流アイドルでも通用するとらーがなが思えるような美女が写っていた。


「この子なんだけど……うちに来たのよ。別に金の問題とかストカー被害とかじゃなくまったく別の問題で」


 時美はそう言うと茜を見つめた。その視線に茜は嫌な予感を感じていた。


「この子がね、『神前誠君と付き合いたい』って言ってうちに来たの。彼、新さんが言うには童貞らしくて、しかも周りの女は地球人の血を引く最低の女しかいないとか言うじゃない。だから、その子にぜひ誠君を紹介してほしいと頼まれちゃったの……連絡先とか……教えてくれる?この子貯金はもう10億あるとか言ってたから。ね?それくらい茜ちゃんなら出来るでしょ?あの調子だとあの子が逆にストーカーになりそうな勢いなのよ……これは未然にトラブルを防止するという弁護士の職務から言って……」


 猫なで声でそう言って来ると君を見てラーナはおそらくこの画面のラーナから見てもきれいな女の子にしか見えない女性からそれなりのお金を時美は貰っているのだろうと推測が付いた。


「お断りします。私は仕事のためにここに来たのです。結婚相談なら他に行ってください」


 にべもなく断る茜に時美はため息を漏らすがラーナはいかにも茜らしいと微笑んでいた。

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