第135話 嵯峨と誠二人の法術を持つ嬢にとっての『英雄』
「すべて、騙されていた訳……私はまだまだ未熟と言うわけですか……」
顔は般若のように怒りに打ち震えていたが、茜の口調はあくまで冷静を装っていた。
「なあに?茜ちゃんが知りたかったことはそんな事だったんだ。期待して損したわ。だって、新さんの味を知ったらどんな女だって新さん無しでは生きていけなくなるもの、私も、村上ちゃんもそう言う女だったという訳。でもまあ、新さんは村上ちゃんくらいの女が好みなのよねえ……私も、今度仲間になったお蔦って子も不死人だから新さんの好みの見た目にはならないし、あのちょっとお堅くてアレの最中はそれはもう新さんにちょっとふれられただけで大変になってしまう素人の人……ああ、秀美さん?あの人もサイボーグだからねえ……年は新さんと同じくらいなんだから。それに村上ちゃんみたいな義体も特注すれば手に入るのよ。茜ちゃんからも新さんの為に一肌脱いでくれないかしら?」
そう言って時美は茜に追い打ちをかけた。話題の形勢は完全に時美の勝利に終わった。ラーナは負けを認めたように俯いている茜の代わりに時美を見つめた。
「平木弁護士。おききしたいことがあるんっすけど」
ラーナはその相手の法術師としての実力を測れるレアスキルを活かして時美の口からそれを確認しようと話を切り出した。
「それは、そう言う法術が使えることが売りで法術特捜に入って茜ちゃんの助手をしているんでしょ?それなら私の口からは何も言えないわね。まあ、ヒントくらいは与えておくと、私は不死人な上に戦いに仕える法術師としての素質は元々あった……でもその使い方を新さんが来るまで知らなかったから力を持たない春子ちゃん達やこの街で好きに生きてる不死人の女の子みたいに寿命のある売れっ子の女の子の影で悔しい思いをずっとしてた……あの、新さんのかわいがってる誠君とか言う子が法術の存在を表ざたにするまではどの店も不死人であるというだけで女の子の払いは死ぬ女の子の三分の一だもの。それが今では不死人が別に珍しい存在じゃないとなってあっちこっちの店で不死人の子が売り上げ上位なんてことが珍しくもなくなった……ああ、私も今からでもどこかの店に入ろうかしら?」
時美の笑顔を見てラーナもつられて笑っていた。
ラーナから見ても頼りなく見える『近藤事件』の英雄、神前誠はこんなところでも英雄だったのだと思うと今、隊の女子隊員に完全におもちゃ扱いされている誠に同情せざるを得なかった。




