第133話 好対照な弁護士は法術師だった
「おはよう!ああ、茜先生来てたんだ。話じゃこっちよりむしろ三谷を調べた方がいい事件みたいじゃないの。うちに茜先生が来る必要なんて……」
ドアが相手は行って来るなりそう言ってまくしたてる茜と同じくらいの年の派手な長い髪のこの街でよく見るその手の女性にしか見えない平木と呼ばれた弁護士の顔を見てラーナの全身に違和感を感じた。
「平木先生。そちらの話は、少し待ってください。それより、先生……それと村上さん。お二人とも私に隠し事をしていますね?」
茜は殺気立った鋭い口調でそう言うと二人を見比べながら紅茶を飲んだ。
「隠し事ねえ……さすが惟基先生。茜先生に気付かれないなんてさすがと言うかなんと言うか……あれだけ大っぴらにやってるから私はてっきり茜先生も公認か黙って見過ごしてるものだとばっかり思ってたわよ……ねえ、村上さん?」
村上の隣にぴったりと寄り添うように座る平木と名乗る弁護士からラーナは視線を逸らすことが出来なかった。
ピンクの胸元が大きく開いて真っ赤なレースのブラジャーが丸見えのスーツと呼ぶのがためらわれるようなジャケットに、同じくピンク色の階段を上がる際にはまず間違いなく下着が見えるだろう短いスカート。そして黒い網目の長いストッキングと赤いピンヒール。この辺りでは間違いなく弁護士ではなく近隣の風俗店の任期キャストにしか見えないその姿を見たことがラーナの態度を急変させたわけでは無かった。
「平木弁護士……あなたは法術師っすね……しかもこの街でよく見る不死人であること以外の能力をほとんど持たないようなありふれた法術師なんかじゃないっす……私もあなたほどの人は……身近には二人しか知らないっすから。まあ、一人は人類の例外なので別っすけど」
ラーナの言葉に茜はこれまでの殺気を解いて納得したようにうなずいた。
「やはり、ラーナには隠せないわね。平木先生……いや時美さん。あなたの力、バレてますわよ。これでバレることが二つ。こんなに隠し事が出来ないようでは依頼者の秘密もいつも守れているのかしら?」
茜の時折見せる機動部隊第一小隊二番機担当の西園寺かなめ大尉がこの時の茜を評して言う『ダーク茜モード』に今の茜は突入していた。
しかし、そんな茜の事など見慣れているらしくどう見ても弁護士と言うよりも風俗嬢にしか見えない時美は納得したようにうなずいて茜とラーナを見つめた。
「じゃあ、私も茜ちゃんで。茜ちゃん、良い部下を持ったわね。私も東都警察に出入りして、自称『法術師』とやらとは何人もすれ違ってきたけど誰も私の力を見抜けなかった……ラーナちゃんの相手の法術の種類とその実力を一瞬で見抜く能力。今の法術特捜では結構役に立つかもよ……まあ、あの『特殊な部隊』の法術師で私といい勝負が出来るのは新さんの娘になったかえでさんとか言うここら辺の子でも目をそむけたくなるようなプレイが大好きな変わったかっこいい子くらいのものだって聞いてるからね。なんだ、これで全部茜ちゃんにはバレちゃったわけじゃない。じゃあ、お聞きしましょう……茜ちゃんは新さんが茜ちゃんお目を盗んで私達に何を頼んでいたか……それを知りたいんでしょ?聞かれたことは全部答えるわよ。ただ、私も弁護士なので、聞かれていないことまではしゃべるつもりは無いけど」
そう言うと村上が煎れた紅茶を飲みながら時美は色気たっぷりの笑みであくまで純情可憐と言う雰囲気の茜を見つめた。




