第127話 普通の覆面パトカー……には問題が?
「それにしても毎回県警本部まで覆面パトカーを借りに行くのなんて面倒くさいですね。しばらくうちで預かる手配とか……たぶんリンさんならしてるんじゃないですか?」
かえでのあまりの行動に当てられてどうにも自分を見つめて微笑んでいるかえでに声をかけるのがためらわれた誠はかえでの高級車に乗り込むと運転しているリンに声をかけた。
「当然のことです。恐らくこの事件は一週間前後でかたがつくと思われますので余裕をもって二週間抑えられる車を確保しました……ただ若干問題が……」
隊のゲートをくぐったあたりでちらりとバックミラーを見た誠にいつもの無表情から困った顔をしているリンの姿が写った。
「あれですか?かえでさんが乗るにはふさわしくないとか言う理由ですか?僕達は事件の捜査をしているので有ってドライブを楽しんでいる訳ではありません!ここは公私の区別をしっかりつけてください!」
たまには自分にも言うべきことを言うことがあるというところを見せておかないと二人に舐められる。誠は無理をして強気にそう言ってみた。
「いいえ、そんなことは考えていません。その車ですが、型落ちの本当に目立たない普通のセダンです。街でもよく見かける人気車ですから捜査上目立つようなことは万が一にも有り得ないでしょう。ただ、これはたぶん誠様にも関係がある話かと……」
誠のたまの強気などまるで気にしていないというようにリンはそう言ってバックミラー越しに誠を見つめた。
「なんです?僕にも関係が有る事って……やたらと揺れて吐くとか言うんですか?最近は僕は乗用車では乗り物酔いはしません!僕が吐くのはバスと低重力状態の時だけです!」
それがパイロットとしてはまったく自慢にならないという自覚は誠には無かった。
「いえいえ、そもそもそんなに揺れる乗用車なら車検が通る訳がありませんし、県警がそんな車を使うわけがありません。その車は喫煙者なんです。しかも先月までその車を使用していた老刑事はかなりのヘビースモーカーだったらしくて……その刑事が定年退職で退官して他の捜査官が使用した際にはあまりの匂いに辟易したそうです。それでも……よろしいですか?ああ、誠様はあのタバコ臭いかなめ様といつも一緒に行動されていたので気になりませんか?」
工場のゲートで身分証を見せてそこを通過しながらリンはそう言った。
「タバコ臭い車ですか……でもそのあと消臭剤とかまいたんでしょ?僕も隊長やかなめさんのタバコに付き合うことは慣れてますから平気だと思いますよ」
誠はきつい匂いのキューバタバコを愛飲しているかなめのたれ目の事を思い出しながらそんなことをつぶやいていた。




