第125話 堅物の金髪美女とガールハントに命を賭ける『男装の麗人』
「さすがは嵯峨警部。完全に僕達の望んだ結果をもう手に入れているとは……本当に見事な手際だね。感心させられるよ」
かえでは屈託のない笑みを茜に返した。
誠から見た感じでは茜は政敵に奔放すぎるかえでには完全に呆れ果てるというよりも軽蔑感すら抱いていて、その嫌悪感と父譲りの性格の悪さからかえでの無能を証明してなんとか法術特捜の協力任務からかえでを外したいという態度がまるわかりだった。
一方、美しい女性であれば誰でも手を出すかえでは特に茜の悪意は逆にかえでのマゾ心を刺激する素敵な女性のちょっとしたいたずらと捉えているようでこの二人のこのすれ違いが永遠に続くのかと言うとうんざりした気分になった。
「嵯峨警部。と言うことはリンに報告させた昨日の僕達の行動記録は君としてはどうなのかな?合格点は難しいかな……君は結構仕事には厳しいようだ。まあ、お姉さま達にはかなり甘い態度で接していたようだがね」
余裕の表情を浮かべてかえでは自分に警戒感を隠そうとしない茜に向けてそう言った。
「まあ、合格点……ギリギリと言うところですわね。あれだけ時間があればもう少し効率的な捜査をすることが出来た。今日はどうされるのかしら?絞り込んだバノンの潜伏先の様子を確認しそこに出入りする人物の特定を進めるのか、それともバノンが生体肝移植を行うことになるであろう設備の整った病院を当たってみるのかしら……私としては病院から当たるのがお勧めですわよ。バノン関係者との接触は現段階ではあまり賢明な策とは思えません。島田君を襲ってこちらが動き出すということは彼等も予想しているはず。それへの対応策を考えていないとは思えませんもの」
茜はかえでの顔をもみたくないというように画面を見つめてキーボードを叩きながらそう言った。
「実に貴重な意見だが、僕もまったく同意見だ。嵯峨警部……僕達は意外と気が合うのかもしれないね」
そこですかさずかえでは茜に手をやりその手を握りしめようとしたが茜はそれを振り払い、ものすごい形相でかえでをにらみつけると黙ったまま再びキーボードを叩き続けた。
『かえでさん……女に見境が無いのもいい加減にした方がいいですよ。一応、『許婚』である僕の目の前で女性を口説こうとするのはほとんどアウトの領域ですし。それにどう考えてもかえでさんのこれまでの所業を全て知ってる茜さんがかえでさんになびくことなんて万が一にも有り得ませんから』
誠は敵意むき出しの茜とどこまでもプレイガールを貫くかえでに呆れながらそんなことを考えていた。




