第123話 馬の合わない義理の姉と妹
誠達はとりあえず隊で昨日までの捜査状況を報告するべく『特殊な部隊』に出勤した。
「リンさん、今日、県警で捜査車両として借りる車は普通のセダンにしてくださいね。昨日みたいに目立つ車だと捜査に差し支えますから」
涼しい顔で法術特捜の部屋をノックするリンに向けて誠はそう言った。
「はい、そのあたりはご安心を。一台ちょうどいい車両が空いていると県警の第一本部長から連絡を受けましたのでそちらの車両を使用します。そちらはしばらく使用予定が無いようなのでしばらくは私達が使っても問題ないようです。ただ、かえで様のような殿上貴族をお乗せするにはあまりに貧相なのが気になるところですが」
リンはそう言いながら法術特捜のドアを開けた。
「おはようございます。そちらの方はいかがなのかしら?」
軽く端末のキーボードで何かを打ち込んでいた茜が顔を上げて誠達に目を向けた。ラーナは珍しく神妙な顔をして端末の画面を見つめるだけで誠達に目を向けることもしない。
「カルビナ巡査があの調子と言うことはそちらはあまりいい成果は出せていないということなのかもしれないけど……こちらの方は順調だよ。ただ、いくつかわからないことが分かってきた。そのことが分かって来たのが一番の収穫かな」
かえではそう言って茜に笑いかけるが、かえでの事をあまり快く思っていない潔癖症の茜は笑いかけるかえでに表情一つ変えることなく再び端末の画面に視線を移した。
「私達の捜査はすぐに結果が出る種類のものではありません。余計な詮索は無用です。それより、そちらの方は素早い結論が必要とされる種類の事件なんですよ。あのバノンと言う男の死期はもうすぐ来る。だからあの男は事を急ごうとするでしょう。そうなれば再びあの男の信者は島田君への接触を図ろうとするはずです。その準備も迅速に行われることから考えていくらでもその拙速さゆえに手掛かりにつながる情報は漏れだす可能性が高い。私は今回は初めての私達、法術特捜への協力任務として簡単な捜査を依頼したつもりですの。当然、そのくらいの事はしていただいても罰は当たらないんでは無くて?」
馬の合わない義理の妹に茜は流れるような金髪を軽く整えた後、そう冷たくそう言い放った。
「それはお気遣いいただいて光栄だね。でも、今回は仲間の命がかかわっているんだ。重要性は高いものだと僕は考えているよ。まあ、島田准尉は何をされても死なないからその言葉は不正確かもしれないけどね。それより、この事件が解決しなければあのバノンの死期を早める結果になるというこの事件の皮肉が逆に僕にとっては興味深い」
自分にあからさまな敵意を向けて来る義理の姉の茜にかえではあくまで温和な笑みを浮かべてそう笑いかけた。




