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第121話 教祖の動向と女達の戦い

「おはよう、昨日は眠れたかい?」


 食堂で島田に指摘されるまで自分に出されているかえでの配慮による特別食を食べていた誠に声を掛けてきたのはかえでだった。


「かえでさん、早いですね……でもリンさんは?いつもはこの時間には食堂に来て食事をしている時間だと思うんですけど」


 誠はなぜかついてくるドリンク剤を飲みながら笑顔のかえでに向けてそう言った。


「ああ、彼女は少し昨日遅くまで調べ物をしていてね。それでさっき目覚めたところで僕達の特別室にあるシャワーを浴びているところだ。何なら覗くかい?リンもその方が喜ぶ」


 かえでが誠の前では基本的には意地でも下ネタに話を持って行こうとするのは知っていたので誠は苦笑いを浮かべた。


「あの『神聖聖書教会』がなぜ島田先輩を襲ったかと言うことですか?僕が思うにあの島田先輩をがけ下に突き落としたのは本当に島田先輩が不死人かどうか確かめる為だと思うんですけど」


 とりあえず自分の分かる範囲で誠はそう答えた。


「それはたぶんそうだろう。そして彼等はその事実を確認した以上、次の段階に進むだろう」


 そう言うとかえでは誠の正面の席に座った。


 そんなかえでに三人の女性の視線が突き刺さってきた。


 隣のテーブルの三人。かなめ、カウラ、アメリア。誠が第二小隊の所属になってから彼女達はなぜか誠と同じテーブルで食事をするのを避けるようになった。


 かなめは明らかに最近自分の言うことをまるで聞かなくなったかえでを今にも射殺しかねない怒りの表情でにらみつけている。


 カウラは誠の方を見つめ昨日も彼女が送って来た日々過激化する無修正動画『愛の手紙』が誠の心を動かしているか気になっているようだった。


 アメリアはと言えばその二人の反応とかえでの反応を見比べながらこちらは年長者としてあくまで表面上の落ち着きは払っているがその内心は穏やかでは無いのは箸を時々落とすという彼女にはありえないしぐさを見れば一目瞭然だった。


 誠はこの自分の置かれた女達の微妙なパワーバランスの中で平然と勝利者を気どるかえでに見つめられながら苦い味のする材料の良く分からないゼリーを匙ですくっていた。


「結論から言うとバノンが信じているのは生体肝移植らしい……これはバノンの地球圏の教会本部との通信を盗聴していた甲武国家憲兵隊からの情報で分かったことだ。そうなると、おそらくはそれなりの設備のある病院にバノンは動くことになる……それがいつになるか……そこら辺の調査をリンには依頼していてね。彼女は早い方がいいと昨日は遅くまでその辺の調査をしていたんだ」


 かえでは屈託のない笑みで誠が良く分からない材料のゼリーを食べるのを満足そうな笑みを浮かべて見つめていた。

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