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第104話 不死になることと不死人の起こす『バイオハザード』

「出たな……しかし、最初に出たのはやはり『不老不死』か……そんなに地球人は死ぬのが怖いのかね?僕としては不思議としか思えないよ」


 画面のトップに出たのは『不死人』に関するものが大半を占めていた。


「かえでさんは死ぬのが怖くは無いのですか?」


 誠は恐る恐るかえでにそう尋ねた。


「誠君は怖いのかい?僕は母が『不死人』だ。不死であること、その宿命を嫌と言うほど聞かされた……母にとって死は憧れだ。でも誰も母を殺すことはできない。そして母は自ら死を選ぶタイプの人間ではない。確かに母の死を望む人は甲武には多い……それによってしか立場を守れない人間が居るのも事実だからね。彼等に思いが及ぶ母は死を待ち望んでいる……でもその時は永遠に訪れない……そんな話を日常的に聞かされていれば死と言う物への恐れは自然に消えていくものだよ」


 そう言ってほほ笑むかえでに誠は少し違和感を感じていた。


「しかし、どれも医学的にはあり得ないものが多いですね。一番上に載っている『不死人の肉を生で食べる』と言う物ですが、不死人の切り離された肉体はそれ自体が細胞分裂を繰り返し、もし近いDNAを持つ地球人類がそんなことをすれば遺伝子変性を起こして間違いなく死亡します。他にも『不死人の臓器を移植する』と言うのも結果は同じです」


 リンは多くの項目が不死人の肉体を隊内に取り込む記事が多いことを指摘しながらそんなことをつぶやいた。


「じゃあ、『厚生局違法法術研究事件』の時に同盟本部ビルを襲った異形の不死人の未完成体の肉片はどうなったんですか?あの後あの近くでバイオハザードが起きたなんて話は聞いたことがないんですけど」


 誠は純粋な興味からそんなことをリンに聞いてみた。


「恐らくすべての肉片は回収されて東都警察の鑑識の地下深くに封印されている事でしょう。ですが誠様の指摘は意外に的確ですね。不死人は下手に殺そうとするとバイオハザードが起きる可能性があります。例えば爆殺しようとすれば当然その肉片はあたりに飛び散るわけですが、その肉片はそれぞれに再生を始め、それに触れた通常の人間はその細胞に侵食され遺伝子変性を起こし死に至ります。ですので不死人を誠様のようにその存在に法術によってダメージを与えずに殺そうとすることは自殺行為としか言えません」


 リンの言葉に誠は絶句した。


「じゃあ、島田先輩が腹に木の枝が突き刺さったのは……」


 島田の怪我を思い出した誠の言葉を聞くとリンは笑顔を浮かべた。


「ご安心ください、その存在に不死人は意識がある場合にはその存在の意識を離れては48時間程度で細胞分裂が停止します。島田准尉が怪我をした場所の近くには民家が無かったという話ですからバイオハザードが起きる可能性は極めて低いでしょう」


 そう言って笑うリンだが、不死人がバイオハザードを起こす恐ろしい存在であることを知って誠は驚愕した。

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