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第103話 真実をまぶされたデマとそれに踊る教祖

 隊に帰った誠達がリンの運転する車で駐車場に着くとそこには眼鏡の大尉が待ち構えていた。


「日野少佐。このディスクにご依頼の情報が」


 それだけ言うと技術部の情報士官は切手ほどの大きさのディスクを車の後部座席から降りたかえでに手渡して立ち去った。


「まったく愛想が悪いね。彼は学生時代ホストだったと聞くが本当だろうか?まあ、ホストなどと言う女性を喜ばせる男性の職業には僕は関心は無いね。僕自身が彼等よりより女性を喜ばせるコツを心得ていると思うよ」


 誠は時々隊長室に出入りする技術部の情報士官のリーダー格の眼鏡の大尉が元ホストだったということに驚くと同時になぜそんなことをかえでが知っているのか不思議に思いながら機動部隊の詰め所に急ぐかえでの後を小走りで続いていった。


「どんな情報が入っているんですかね?」


 自分でもありきたりなことしか言えないことに少し恥ずかしさを感じながら誠はディスクをちらちらと見つめるかえでを後ろから眺めていた。


「さあてね。たぶん一部は真実が含まれている可能性はあるな。デマと言うものはすべてが嘘ならば誰も信じない。しかし、その中に真実のかけらがあればそのかけらをきっかけにそのデマのすべてがあたかも真実であるかのように信じられてしまう。まあ、僕は海軍省でそう言ったデマについて色々考えさせられることがあった。そのデマを作り出すプロ中のプロが隊長をやっているこの部隊では当たり前の話かもしれないがね」


 かえではそう言うと振り向いて誠に笑いかけた。


 嵯峨は過去をほとんど語らない。ただし、諜報関係の仕事をした経験があるということをほのめかすようなことを誠も何度か聞いたことがあった。


 20年前の戦争では一時的にそんな仕事もしていたのかもしれないと自分を納得させながら誠は機動部隊の詰め所のドアをかえでに続いて入った。


「どーだ?調子は?茜の方は結構手間取ってるみてーだぞ。まー三谷や吉原は人が多いからな。それにあそこは最近やたらと外人が出入りしている。さっきどいつが地球人のアタシみたいな酷い目に喜んでなりたがってる金持ちの手先か区別がつかねーって西園寺の馬鹿が愚痴りながら連絡入れてきたところだ。その様子だと何か掴んだみてーだな?」


 相変わらず暇つぶしに詰将棋をしているちっちゃな機動部隊長のランは誠達を出迎えるとそう言った。


「まあ、今のところは順調だと思いたいですね。ただ、あのバノンと言う男は慎重な男だということだけはわかりましたから、もしかしたら僕も彼の術中に落ちている可能性もあります。あまり期待はしないでください」


 謙遜してそう言うとかえでは自分の席に着いてディスクを備え付けの端末のスロットに差し込んだ。誠とリンは起動した画面にどんな奇妙奇天烈なデマが並ぶことになるのか興味を引かれながら画面を見つめた。

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