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選ばれし者

翌日

政直は不機嫌な朝を迎えた。


ナオミの夢を見たせいで、酷く落ち込んでいた。夢というものは、自らの意識の投影であることを知っていたからだ。つまり、あのような浅ましい夢を見させたのは政直本人だったということだ。

「オレって最低だ……」

精神面で潔癖症の気がある政直は、自己嫌悪に耐え難かった。


そんな政直の心境に関係なく、状況は動き続ける。

その日も有働の手に落ちた看守が檻に現れ、政直を取り調べ室まで連れて行った。

「オレが靡かないと言ったはずなのに、まだ用があるのか?」

政直は看守に訊いてみた。


「知るかよ馬鹿」

看守の返答は素っ気ない。


「有働さんの呼び出しだよな?」

政直は懲りずに質問を重ねた。

「とっとと歩けクズ」

よくよく考えれば、彼らにとって政直は敵対する存在だった。愛想良く答えてくれるはずがないのだ。



取り調べ室には、その時ばかりは対面したくなかった相手がいた。昨晩、あのような夢を見なかったならば気分が高揚しただろうに。

寄りによってそんな日に、取り調べ室には先にナオミが呼び出されていた。

しかも看守は有働を呼びにでも行ったのか、二人を放置して取り調べ室を出て行ってしまった。ナオミと二人きりになることがこれほど重苦しい気持ちにさせられるとは、政直は想像したこともなかった。


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