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悪の華14
政直は恐ろしくなった。
あの研究員が政直の目の前から消えたのは、まず間違いなく有働の指示だ。それにしても、たった一つしか用意されていない檻の他に、あの研究員がどこに追いやられたのか気になった。まさか処分されたわけでもないだろうが。
堂々と不正を行う有働の手にした権力の強さも恐ろしかったが、それ以上に有働にあっさりと付き従う人間たちの方がより恐ろしく感じられた。不正だとわかっていながら金銭で道徳も正義感も失い、あまつさえ従わない政直を平気で誹謗したのだから。
(罪悪感の裏返しさ、きっと……)
政直はそのように思い込むことにした。
そうでなければ、独りきりの檻の中で睡眠をとることさえ危うくなるほど怖かった。
たかだか金のことで簡単に倫理を捨て去ることのできる人間が、政直のような男には最も恐ろしかった。
(まさか、ナオミとかも買収されたりしてないだろな……)
その夜は、有働に二束三文で付き従いあられもない姿を晒すナオミの淫夢にうなされて一晩を過ごす羽目に陥った。




