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第四十八話「我」
「大きいビルですね~」
我はひとみを連れて、地上から最上階を見ようとすると首が痛くなるような高層ビルを訪れておった。
「久しぶりに来たが、相変わらず主張が強い建物だ」
我はあまりこういう建物が好きではないな。
風と日当たりがどうも気に食わん。
「悪魔さん…」
「どうした? ひとみ」
入る前にそんなに気になるところでもあったのか?
「あのマーク、なんですか」
「…ああ、あれか」
隣のカフェの店先の看板に描かれている大きな純白の三枚の羽がリングを支えているイラスト、か…
「あれはな、天界の印だ」
「天界ですか?」
「……」
「ところで…天界ってなんですか」
…こやつ今まで知らなかったのか。そういえば、こやつ人間だったな。
「……」
それなら、知らないのも無理はないのか。
「悪魔さん、どうかしました」
「……」
「いや、なんでもない」
「……?」
人間か…そんなこと、すっかり忘れておった。
キライで、キライでしかたないものであったはずなのだがな。
「……」
「……」
何も考えずに生きていたのかもしれないな。
「ちょっと、悪魔さん。早いですよ~」
こんな日々が、
我の光と影を縫い合わせた人形を勝手に作り始めておるのかもしれんな。
「……」
それは我ながらおかしな話か。




