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第四十九話「ガラスの羽」
「空羽様は10階、三羽美室で待っていらっしゃるそうです。」
「ご親切にありがとうございます」
我らは受付で取引先との面談予定を確認してもらってから、午前11時ごろの、少し空いたエレベーターに揺られ始めた。
「……」
「……」
昇るたびに消えたり、現れたりする影とよく反射する陽光のせいで、定期的に目がちかちかする。そんなガラス張りの高層ビルといつも働いておる地下空間とを頭でぼんやりと比較しながら、我はエレベーターのボタンを眺めておった。
「…悪魔さん、今回の取引先はどんな方なんですか?」
「そうだな…」
「……」
空羽とは、何度か取引をしておる上に、かなり前から知っている存在ではあるのだがな。
いつも妙に笑顔で優しい雰囲気…
チリン。10階。
「ほれ、降りるぞ」
「…はい」
エレベーターだと10階でも、すぐに着くものだな。
階段だとあれだけ遠いはずなのだがな。
「ようこそ、苦地様…いえ、」
「悪魔様、ようこそ天式会社三羽美へ」
「お久しぶりです、空羽様」
二つの大きな境界線が交わるのを、瞳と観葉植物だけがひっそりと眺めていた。




