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第四十六話「母と台所」
ピピピッ ピピピッ
目が覚めるとなんだか、のどが無性に渇いておった。
「なんだ?あの夢」
とても奇妙な夢を見ておったような気がする。
それもなんだか、未来を見ておったような。
「……」
予知夢…ではないか…
「……」
我はコップ一杯の水を流し込みながら、冷蔵庫をゆっくりとのぞく。
…今日はパンケーキが良いか。小森は甘いものが好きだからな。
たっぷり蜂蜜でもかけてやろう…それにちょうどリンゴがあるからしな。
最近は高くてなかなか手を出さんが、
この前、行きつけのカフェでなぜかもらった分がある。
この機に、ありがたく使わせてもらおう。
「パンケーキ…か…」
「……」
久しく食べておらなかったな。
「……」
よく食べていたときのことが懐かしい。
人間界の時間で考えれば、そこまでの時間でもないのだがな。
地獄の時間で考えるとな…
「……」
フライパンの上でバレリーナのように踊るバターを見ながら、我は少しだけ窓の外をのぞく。ひらひら…ひらひらと舞うカーテン。ほこりまみれで汚いはずなのにいつもきれいに見えてしまう…。
「…あく、まとうか…」
「目が覚めたか、小森」
静かな日曜日の朝が始まっていくのを、我はちょっとだけ嬉しく感じておった。
「ふふふ」
「???」
まるで、母になったときのような朝だ。
…本当に懐かしい。




