第四十二話「糸が交差する地点で」
ファミレスから出た時の空気は、
なぜかわからないが、ちょっとだけ気持ちよかった。
「ああ、そうだ…」
私、ひとみは、
小森を連れて先に帰ろうとしている悪魔さんの後ろ姿を…
ありがとうございました。
カラン、カラン。
「……」
「…ひとみ様」
追いかける予定だったが、
蜘蛛の糸にまんまとかけられた。
「わっ」
「……」
「なんだ、血嬢さんか」
私はきゅっと吸い上げたタピオカを戻っていくときみたいな
動きをしながら、血嬢さんの方にピントを合わせた。
「どうしたんですか?」
何か用でもあるのかな?
でも、私と血嬢さん、今日知り合ったばかりだし、
特になにもないような。
「ありがとうございます」
「???」
なんのことだろう?
「ここ…悪魔様と仲良くしてくださって」
「いや、仲がいいとかとは少し違うと思います。
私、悪魔さんの部下ですし、いつも迷惑かけているので」
いつも悪魔さんにはあきれられてるからな~。
仲がいいとはちょっと違うような気も…
「ふふ、ふふ」
「何かおかしいこと言いましたかね」
「いえ、なにも」
血嬢さんの笑顔って、
なんだか、糸に水滴が絡まったときみたい顔。
「早く帰るぞ。ひとみ」
「悪魔さん、ちょっと早いですよ」
早くいかないと、でも…その前に
「……」
「なんかわかりませんけど、血嬢さん、ありがとうございます」
私はとりあえず元気よく、感謝しておきました。




