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第三十七話「こころ様」
「ひとみ、小森は捕まえられそうか?」
腰を痛めた我は、
近くのボロボロのベンチから電話をしておった。
「いや、追いつめたんですが…」
「どうしたのだ」
「それが…」
なにか小森が変な行動しておるのか、
それとも何かやらかしたのか?
「言ってくれ」
「高所恐怖症なのに観覧車に乗ったせいで、
小森さんが生まれたてのシマウマさんになってるんですよ」
「なるほどな。」
外国フェスだけあって、
日本では珍しい移動式の遊園地まで来ておったな。
ここからもよく見える。
小森は羽が生えておるが、超低空飛行しかできないからな。
地面に水たまりやマグマなどがない限り、
役に立たないほどの高さしか飛べぬ。
まあ、羽があるだけで十分ではあるが。
「我がそっちに行く、少し待っておれ」
「了解です」
ブチッ。
電話を切った我は、道行く人間たちを見ながら、
どう観覧車まで行くか考えておった。
「タクシーを使うとするか」
この距離で使うには少しもったないが。
「お久しぶりです。こころ様」
隣から聞き覚えのある声
「その名で呼ぶのはやめろ、血嬢」
静かに毒を盛られるような空気
「お気に召されませんでしたか?」
「あたりまえだ。で、なぜここに来た?」
彼女は少し笑いながら、
リムジンのカギを解除しこういった。
「お嬢様をお向かいに参りましたと」
「……」
本当にめんどくさい、主従関係だ。




