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第三十六話「デスクワークの代償」
「どこにいった?」
ここで小森を逃がすわけにはいかないのだ。
やつにはきっちり返してもらわなければ、
「いましたよ、あそこです」
ひとみが指さした先には、
日傘を抱えたまま逃げる小森がおった。
「はさみうちするぞ、ひとみ。お主は、大通りから動いてくれ」
「了解です。地獄の果てで落ち合いましょう」
地獄の果てかは知らぬが、
うまく落ち合えることを期待しておるぞ。
我は、浮力によってあふれ出した風呂場の水のような勢いで
人混みや障害物を避けていっていた。
「いつも、外に出ていないくせに逃げ足だけは早いな」
会社の重要書類室に引きこもっておるばかりで、
外に出てこないはずなのだがな。
「待て、小森」
「mfksdmふぉ」
何を言っておるかはわからぬが、
体力はないようだな。
この調子なら追いつける。
グキッ。
「……」
腰が…
そういえば、最近はデスクワークばかりしておったな。
……地獄と人間界では体への負荷も違う
「……」
まずい、このままでは逃げられる。
また、逃がすわけには
「……」
今はただ腰が痛い。
ひとみに帰りは運転してもらうとするか。




