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第三十五話「逃亡」
「それにしても人が多いですね~」
「今日は土曜だしな」
外国フェスに来ていた我たちは、
人混みの中で「吸血鬼」を探しておった。
まあ、ここで見つかるとは思っておらぬが、
「甘い匂い」
「そうか」
さすがに、屋台の料理かなにかだろう。
ミルフィーユ、チャイ、ココナッツミルクを使ったカレー
我は人間界の日本にしか訪れたことはないが、
地獄で言う階層の違いと同じようなことがあるのだろうな。
「あ、いましたよ。吸血鬼さん」
「そんなはずはない」
やつは人の多い場所を嫌い、
ダンゴムシのように岩の影に隠れるのが一番とか言う存在だ。
ここにいるはずはない。
「……」
「いや、いるな」
屋台で危なそうな色の飴を袋いっぱいに買っておる。
「捕まえてきますね」
「ちょっと待て、ひとみ」
ひとみが話を聞かずに走りだし、
飴で釣ってそのまますんなり捕まえてきた。
「飴で釣れましたよ、悪魔さん」
「悪魔さん???」
ひとみを知らなかったのが好都合に働いたな。
これで手間が省けた。
「久しいな小森」
「悪魔現世統轄長がなんでここに」
こうして無事に小森を捕まえられた……
はずもなく。
次の瞬間には逃げられておった。




