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第三十三話「散歩」
「悪魔さん~、置いていかないでくださいよ~」
「……」
さっきまで、床で寝転がっていたせいで服が乱れ散らかっておるひとみが
わせわせと脚を前に動かしておった。
「寝ていれば、よかったものを」
「…そう、はいけませんぜ、よ」
我的には、あやつのためにもひとりで会いたいところだったのだが。
まあ、しょうがないか。
「で、どこにいくのですか?」
「お主、鼻は利くか?」
甘い匂いをたどれば、あやつに追いつける。
どうせ足取りは遅いだろうからな。
「はい、まかせてください」
「そうか、なら甘い匂いをたどってくれるか」
我は人間界に入ってから、花粉症とやらにかかったせいで、
残留したやつの気配しかたどれないからな。
「すみません、悪魔さん」
「どうしたひとみ」
「甘い匂いとは柑橘系ですか、それとも人工物系ですか」
いや、なんだその質問は?
「まあ、どちらかといえば人工物系ではあるな」
「わかりました、ならいけます」
妙に元気になって犬のように走り始めるひとみを
追いかけるように我は歩みを進めた。
はたから見た我とひとみは、
主と犬のような関係であった。




