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第二十話「キガ」
「あれはどういうことだ、等実」
我は電話で直接、事情を聞くことにした。
「くまさん、お久しぶりです。あれとは何のことでしょうか?」
「とぼけておるのか、新人の件だ」
朝からこちらを惑わせたこと、きちんと説明してもらうぞ。
「新人の件、ですね…」
「最近、くまさんがお疲れになっていると思いましたので、明るい新人さんに場を和めてもらおうとしたのです。ですが、機嫌から察するにお気に召さなかったのですね。」
近頃の我はそんなに具合の悪そうな顔だったのか。
それはすまないが…
「いや、お主がデマを新人に吹き込んだことと、新人が人間だと言わないことについて、我はもの申したいだけだ」
「でも、くまさん、人間さんが好きですよね。なら、きっとうまくやれます。」
「……」
「くまさん、聞こえますか。私、また、失礼なことをしてしまいましたか。」
ブチっ。
我は電話を切って、その場で少しだけ考えることにした。
確かに、等実の言う通り我は人が好き…とまではいかないが、
最近は前よりもキライではない。
だが、キライになった理由は忘れてはいない。
キガが切れかけたスマホの遅れがちな通知が、
我の手によく伝わっていた頃のこと…




