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第十七話「キライとスキ」
「遊鬼はウーロンハイか」
「油、重」
「まあ、それはわかる」
我らが注文したのは、
ポテト、イカリング、キムチ……
油が重いのは、我も同じなのだが、
ちょっとだけ食べたくなってしまう。
人間どもが体に悪いとわかっていても、
食べたくなるという気持ちが、
今はよくわかる。
「遊鬼は、最近どこか出かけたか?」
「メタバース施設、行」
「奇遇だな、我も最近行ったばかりだ」
あの体験は我に新しい刺激をくれたが、
同時に我の心を摩耗させる原因のひとつになったからな。
来月からの新しい仕事は、どうするべきか…
「技術、最」
「遊鬼の目にはやはりそう映ったか…実はな、
今、新プロジェクトが進行中でな、
遊鬼の意見も聞きたいと思っていたところだ」
我はジョッキを抱えたまま、
牛が闘牛士の携帯する赤い布に突進するように、
距離を詰めてしまっていたらしい。
「ふふ」
「何がおかしい?」
「悪魔長、熱」
……我は仕事が好きなのかもしれん。
人間だろうが、どんな存在だろうが楽しんでもらいたいだけ…
まあ、人間はまだ少しキライだがな。




