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第十四話「アイアンメイデン」
テレビに映し出された光景は、
アイアンメイデンに人が入れられる瞬間だった。
「イヤっ」
我が声を出したころには、
すでに手遅れ…であった。
器具の小さな隙間から滴れる鮮血が
光沢を湛えた大理石を静かに汚していく。
「今の映像、怖。何今の?」
「それはこれからわかりますよ。それでは、本日二番目の商品紹介になります」
我の目がおかしくなければ、
人間が…
人間が…
「……」
「アイアンメイデンをモチーフとした調理道具、その名もサクサク処刑機です」
「物騒な名前すぎて、誰も買わないんじゃない?」
テレビ番組の作られた笑い声が、
我の意識をはっきりさせた。
「よかった」
なぜ、無意識のうちに胸をなでおろしておる?
いったい、何に安堵しておる?
……
さっきのはただの演出だ
本当に人間が入ったわけではない。
トマトやイチゴといった、
潰したときに血のように見えるものを詰め込んでいただけだ。
地獄のものが好みそうな、いやらしい演出ではないか
我は知っている…知っているのだ。
なら、なぜ、
我の瞳からは涙があふれている?
これは一体、どんな拒絶反応に
該当しておる?




