第十一話「懐柔」
部下を返らせた我は、等実と話していた。
一つ言っておくが、等実と我は旧知の仲だ。
「地獄の時間間隔で来ないでもらえるか」
「すいません、くまさん」
いや、我はくまではない。
もう少し威厳がある存在であるはずなのだが
「ちなみに、今回はどういう案件でこちらに?」
「それがですね、この度、人間界に新たな店舗を出すことにしまして」
ふむ、新しい店舗か…
まさか、また我に仕事を任せる気でないだろうな。
「大変申し訳ないのですが、そちらの管理をお願いできませんか」
やはり、こやつは学ばぬ。
お主のせいで、こちらはすでに手いっぱいだ。
「我は無理だ。」
「…そうですよね、くまさん。大変ですもんね。」
爪を見せぬように、袖の下に隠したまま泣いておるな。
だが、その手にはもう引っかからぬ。
前回と同じ方法で言いくるめられるほど、我は単純ではない。
「私の力では人間さんひとりですら、笑顔にさせることができないんですね。次の店舗はメタバースおよびネットゲームの面白さを体験できる次世代型娯楽施設を展開する予定だったのですが。」
「……」
メタバース、ネットゲーム
「悪魔さんが許諾していただけないのなら仕方がありません。この話は白紙に戻すことにいたします。」
その後、我はあれよあれよと
等実の罪悪感を刺激するような言葉に胸を乱され、
新店舗の管理を任されることとなった。




