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第十話「上司」
時刻18時36分
「今日の仕事も終わりそうだな」
ふぁー。
こんな時間にあくびが出るとは
我も疲れておる。
最近、羽を伸ばせておらぬしな、
マッサージにでも赴こうか…悩むところだ。
「悪魔さん、先ほどお電話があったのですか」
こんな時間にどこからだろうか?
「どうしたのだ」
「それがですね」
そんな顔をするような取引先はおらぬはずだが、
変な営業電話でもかかってきたのか?
「実は、あの方からでして」
「まさかと思うが、あの方とはやつのことか」
「はい、そのまさかです」
「……」
なんとなくだが虫の知らせがする気がする。
「それでいつ来るとおっしゃられた?」
「明日の朝と」
地獄と人間界の時間間隔は大きく乖離しておる。
だから、本来は大丈夫なのだが、
あの方は時間にルーズな地獄の民にしては珍しく
早く行動なさるからな。
もう来ていらっしゃっても…
バタン(扉の音)
扉を大胆に開けて登場した人物は
第一地獄支部代表取締役 等実
我の上司にあたる存在だ。
「あ、扉さんが…ごめんなさい」
かなり癖のある上司ではあるが。




