11.不穏な影
お城の中は教科書の参考資料に出てくるような中世ヨーロッパのような大広間があった。そこに、メイドさんや執事さんのような人が入ってきた扉から中央の階段まで続くカーペットの左右に列をなしている。
「「「お帰りなさいませ!!カリファお嬢様!!」」」
一斉に声を上げてお辞儀する。それも今まで見たこともないような角度で。
「もうっ!!こういうのは要らないって言ったわよね?」
「いえいえ、貴方様にとって必要なものなのでやめさせるのは諦めてください。」
と道中ずっと一緒だった執事さんが後ろから言ってくる。いつの間にいたんやら……。
「でもこういうのは王族と国民の地位の格差が広がっていくだけじゃない!」
カリファは反論する。
「あなたが目指している世界にも誰かを指揮する人は必要では無いのですか?」
「グウッ」
この光景を見る限りカリファは執事さんにいつもいい負けているようだ。
「わかったわよ……。」
「理解頂いてありがとうございます。」
執事さんの返しを聞くなり、こちらへと振り返ってくる。
「それではトワ様いきましょう!」
「いくってどこに?」
「それはもちろん、現国王にして我が父上のところに決まっているじゃないですか!」
「えっ……?」
カリファに手を引かれ着いたところは王の間だった。
そこは大広間とは比較にならないほど広大で、RPGで描かれる物を現実に引っ張り出したかのようだった。
「カリファよ、こやつは誰だ。」
王様の声は心にどっしりとのしかかってくるかのような低い声だった。
「お父…いえ、王様!この方は今代の勇者様なのです!」
「そうか……やっときてくれたか……。」
王様の声はさっきとは違いか細い声でよく聞き取れなかった。
「勇者よ、よくぞ来てくれた。少しこちらに来てくれぬか?」
「「王様!?」」
家来らしき人達や王様の左右に立っている大臣らしき人達は慌てて王様を止めようとした。
「気にせんで良い。」
俺はその言葉を聞いて立ち上がり、ゆっくりと近づいていく。目の前に立つと王様は手招きをした。俺は意図を察して耳を近づける。すると王様は蚊の鳴くような声でいった。
「カリファのことを頼んだぞ……。」
その言葉に隠された意味は分からなかったが、とりあえず了承しておく。すると王様のしわがれた頬に一筋の涙が垂れた。
俺はそれを見なかったことにして、王様に背を向けてカリファの元へ戻る。
「もう下がって良いぞ……。」
「それでは失礼します!」
とカリファが返事をして王の間を後にする。
しばらく歩いた後カリファに、
「あの時父上になんといわれたのですか?」
と問われた。俺はその質問には答えない方がいいと思った。なので、
「ナイショです!」
と誤魔化してみる。するとカリファは
「まあ、他人に聞かれたくないこともありますからね……」
とあっさり手を引いてくれた。
王様のあの言葉の意図はなんだったんだろう……?
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「チッ…!あのクソ野郎なんて言ったのかは聞こえなかったが、余計なことをしやがって!」
と荒々しくワインのコルクを開け、一気に飲み干す。
「まあいいか……。どうせ計画に支障がでるほどのものじゃねぇし、あの方のためにもこの計画を完璧に成し遂げなければいけねぇからあんな雑魚を遊んでやる暇もねえしな。」
ゆっくりと立ち上がり部屋にある椅子へと向かって歩き出す。
その椅子に大人しく座っている白髪の男の髪をつかみ顔を無理やりあげさせる。
「お前が何をやったか知らねぇが俺様の計画に狂いはねえのよ!ざまあないぜ!!クハ八ハハハッ!!」
王城の中の一室で悪魔的な笑い声が響き渡った。




