10.街
「…さん…イさん…ルイさん!」
目を開けるとカリファがいた。デジャブ……。
「大丈夫ですか!?ルイさん!」
聞くところによると水晶玉に触れた途端気絶しで倒れ、小一時間ほど眠っていたようだ。
「急に倒れたものですからなにかにやられたのかと思いましたよ……」
チラッと神父さんの方を見る
「カリファ様、お言葉ですが私めにそのような事はまずできませんからね。」
「そこのところは、理解してるつもりなので大丈夫ですよ!ただの冗談です!」
「それならばよいのですが…。何せ目が大分本気だったもので……。」
「ふふっ、そんなわけないでしょう。それでどうですか?ルイさん。」
「なんか色々あって説明が大変なんですけど、俺は勇者だったみたいです。」
その瞬間カリファの顔がさっきまでも笑っていたが、その時とは比較にならないほどの笑顔を見せた。
「良かったです〜!じゃあとりあえず聞きたい話もあるのでお城に行きましょうか。」
「承知しました、お嬢様。馬車の準備は完了しております。」
相変わらずこの執事さんは仕事が早いようだ。さっきまで裏に停めていたはずの馬車が目の前にある。
「それでは神父さま!これにて失礼します!」
「ではカリファ様、お元気で〜!」
ご老体とは思えないほど元気に手を振って見送ってくれる。とりあえず会釈しておいた。
街の大通りに沿って馬車を歩かせる。窓はカーテンで閉ざされているのでそっとめくってみると、子供たちや大人たちまで手を振っている。よっぽど人気なようだ。
「ずいぶん人気なんですね。」
「………。」
なんにも返してくれない。
「お嬢様は街の福利厚生を発展させた実績があるので、物凄い人気なのですよ。」
代わりに執事さんが答えてくれた。
「ちょっと!言わなくていいの!!」
このお嬢様は変なところを恥ずかしがるようだ。
「恥ずかしがることはないのですよ、お嬢様。貴方様はご立派なことをなされたのですから。」
俺も頷く。そしたらカリファは耳を赤くしながらそっぽを向いてしまった。この人はよく分からないなと思った。
しばらくしてお城に着いた。
この街に入った時よりも厳重なもんがそびえ立っている。門番もずっとゴツくなっている。そこら辺のゴリラよりも強そうだ。俺単体では入るのは不可能と思われたが、一緒にカリファもいたので顔パスで通れた。
中に入ると信じられないほどに大きい庭園とディズ〇ーランドのお城を優に超すレベルの物がそびえたっていた。
「さあ着きましたよ、おふた方。この馬車は馬小屋に置いてくるので降りてください。」
馬車の窓から少しだけ顔を出して呆気にとられていると執事さんから呼びかけられた。
「行きましょう!ルイさん!」
そしてカリファに連れられてお城の中に入っていった。




