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信仰

「白銀上総です。よろしくお願いします。この度は、講義の一環ということでお邪魔させていただきました。今回はサンコッテ教についての講義なのでしょうか?」



わざわざ入信するつもりはないけど、魔物を退ける結界とやらにも興味はある。



「はい。その通りでございます。客室を用意しておりますので、どうぞこちらへ」



シスターララが淡々と案内を始める。



西洋風の教会に似合わない引き戸を通ると



板間の和風な空間があった



自然と靴を脱いで上がってしまうほど見慣れた雰囲気だった。



香が焚かれており、神社に来たような空気に安らぎを覚えた。



「とても、居心地のいい部屋ですね」



「気に入っていただけてよかったです。では、こちらにおかけ下さい」



ジェイミー枢機卿に促され、席に着こうとした時



ガタッ!



引き戸が大きな音を立てて揺れた。



『なんだ!?鍵をかけて何をしている!!』



ブチギレたセシルの声と共に引き戸が前後に揺れている



シスターララによって客室の戸が開かれ、静かに立ち上っていた香の煙が霧散する。



「ソシャ殿!勇者様の本日の講義は討伐訓練のはずだ!これはどういうことか説明してもらおう!」



そこには怒髪天のセシル・ド・チェカルディがいた。



「...チェカルディ家の娘よ。ここは神聖な教会です。それに講義の変更の通達はしたはずですよ」



ソシャはセシルを一瞥すると感情を込めず、落ち着いた調子で言い放つ。



「なにぃ?講義変更に承服していない!」



対するセシルは感情むき出しにソシャに食ってかかる。



「冒険者風情が…貴様を貴族とは認めない。ましてや上級貴族になど」



「貴殿がどう考えようが関係ない。上級貴族であるなら陛下のカリキュラムに従うべきではないのか?」



ソシャが不愉快そうに眉間に皺を浮かべ、初めてセシルに向かい合う



「それでは、こうしてはいかがでしょう」



一触即発の空気に枢機卿が穏やかに提案する。



「討伐訓練にシスターララを派遣いたします。移動時間や空き時間にでも教会についてご説明させましょう。訓練中は回復役になることも出来ましょう。両名ともいかがですかな?」



「猊下の寛大なご提案。痛み入ります。」



ソシャが枢機卿に向き直り、丁寧に頭を下げる。



「私も問題ございません。御息女をお借りいたします。」



セシルも怒りを収め、枢機卿とシスターに頭を下げた。



「シロカネ様、せっかく御足労いただいたのに申し訳ありません。何かございましたらたいつでも教会にお立ち寄りください。」



「ええ、またお邪魔させていただきます」



セシルとシスターを伴い、教会前に停められた馬車に乗り込む



馬車には上総の装備がしっかり積み込まれていた。



そのまま討伐に連れて行く気満々やな。



「セシル先生、今回の訓練の内容を教えていただけますか?」



「はい!今回は森の深い場所で一泊します!」



まさかの泊まりかよ。どおりで護衛も馬車も多いと思ったわ。



「シスターララはいきなり連れてこられましたが、準備などは大丈夫ですか?」



「問題ございません。私のことはどうぞお気になさらず。」



お、おぉ。なかなか塩対応やな。



またセシルの機嫌が悪くなっていってる気がする。



「教会についての講義をはじめさせていただきます。サンコッテ教は...」



ララは淡々と教会の成り立ちと歴史について講義を始める。

この国が出来る前、帝国の時代

この世界に巣食っていた悪魔達との争いが絶えませんでした。

それは新たな文明を憎んでいるかの様に圧倒的な数で押し寄せ、殺戮と略奪の限りを尽くしていました。



世界は混沌に呑まれ、帝国は崩壊しました。



そんな中、勇者アルマン・デル・シヴィルが立ち上がり

悪魔達を次々と倒し、悪魔王を捕えました。



長きにわたって人々を苦しめた悪魔王は

この王都の広場で公開処刑になりました。



それから悪魔達による被害は格段に少なくなり、人々から英雄と讃えられ、

初代シヴィル王国国王アルマン・デル・シヴィル英雄王が誕生しました。



勇者と共に悪魔王討伐に貢献した僧侶ルーク・フロレンシオが



叡智の神サンコッテ様の福音を受けてサンコッテ教を開き



シヴィル王都を聖域として、王都に守護結界を張り、今日まで王都を守り続けてきたのです。



あくまで講義と淡々と

無感情に話していたララが

最後には少し誇らしげに語っている様に見えた。



聖域の結界は国民の信仰の力によって支えられているため

シヴィル王国の国教となりました。



「何か。ご質問はございますか?」



不意にシスターララの金色の瞳に見つめられ、ドキッとしてしまった。



「えっと。聖域の結界は魔法で作られているのですか?」



「結界はサンコッテ様より賜った教会の秘術です。申し訳ありませんが、お答えすることは出来ません。」



「そうですか。それは失礼しました。」



技術の秘匿...宗教らしいな。



シスターのステータスを確認しときたいが



「シロカネ様!そろそろ予定地まで徒歩になります。ご準備をお願いします!」



ララの講義中は、隣でうつらうつらしていたセシルが元気いっぱいに声をかけてきた。





色々気になることはあるけど

まずはレベリングしてカーツをしばく。



そして上総は前回同様にフル装備で馬車を降りた。



馬車を降り、前回の討伐訓練よりも深い森を歩き始める。



先頭を護衛騎士2人が枝や背丈の高い草を切り、歩きやすい様に道を作ってくれている。

その後ろをセシル、上総と続いて歩く。



少し遅れてシスターララがゆっくり歩き、最後尾に護衛騎士が3名周囲を警戒している。



シスターララは足首まであるスカプラリオを着たまま訓練に参加させられている。



森の中を歩くのは不慣れな上に歩きにくい服装で進行速度はかなりゆっくりとしたものだった。



護衛騎士達にストレスが溜まってきているような空気が漂っていた。



そんな中、先頭の騎士が立ち止まり、こちらを振り返る。



セシルもこちらを向いて頷く。



どうやらゴブリンを見つけたらしい。



「今回は7体います。前回よりも数が多いので組織だった動きを見せるかもしれません。気をつけてください。」



セシルが小声で忠告し、シスターと護衛騎士を連れて退がる。



背丈の高い草むらに身を隠していると



草木を揺らして近づいてくる気配を感じる。



今度は油断せんと奪えるものだけ奪って殺す。

まずは先制攻撃で数を減らす。



!! ギャー!!ギャー!!



今度は10m程離れているのにゴブリンに発見された。



!?



またバレた!なんでや!潜伏スキルとかないとあかんのか?



上総は戸惑いを隠せないまま草むらから飛び出し剣を構えた。


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