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油断

「2人とも訓練用の剣を使って1on1だ」


綺麗に立てかけられている刃を潰された訓練用の剣を手に取る


重っ!?聖銀の剣の3倍は重い。


「重いだろ?」


カーツが訓練用の剣を手に取って真剣な顔をして上総を見る


「この剣の重さは俺たちが守る国民の命の重さなんだ。」


ゴブリンのような下衆な表情はなく

真摯に剣を見つめていた


意外とちゃんとしたこと言えんねんな。


「おいおい!それはお頭の言葉だろ?」

「お前がこの前言われたことこのまんまじゃねーか!」


周囲から野次が飛び、カーツが固まる。


・・・俺の尊敬の念を返せ。


「ではお願いします」


上総はカーツに一礼し、剣を正眼に構える。


「おいおい!なんだその構えは剣術レベル1なのか?」


上総の構えを見てヘラヘラと野次を飛ばした。


カーツは小柄な身体を屈めて、重心を低くする。


「剣術スキルのレベルを上げるとそんなゴブリンみたいな構えになるんですか?」


「ハハハハハハ!いいぞ!新入り!」

「俺もゴブリンみたいって思ってたんだよな」

「...ウケる」


隊員達が大爆笑する。


カーツが怒りで見る見る赤くなっていく


「殺す!」


血走った目で切り込んできた。


剣を受けた瞬間にカーツに〝干渉〟を差し込む!


名前:カーツ・アズマ 37.8

年齢16

クラス:喧嘩屋

Lv.10

HP:21

MP:2

ATK:12

DEF:6

RES:1

スキル:体術 Lv.5 精神攻撃耐性Lv.4 剣術 Lv.3 痛覚耐性Lv.2


こいつ煽ってきたくせに剣術レベル3かよ! っぐ!!


まさかのスキルレベルに驚愕している隙に鳩尾に前蹴りを入れられてしまった。


呼吸が止まり、視界にチラチラと星が舞う


うずくまった上総を満足げに見下ろすカーツ


「言っただろ?俺たちは国民の命を背負った王国軍人だ。どんな卑怯な手を使っても勝つんだ」


・・・は?


「そっ、それも、お頭の言葉ですか?」


鳩尾の痛みを堪えながら立ち上がり、そんなわけはないと思いながら尋ねてみた。


「俺の言葉だ!」


カーツが渾身のドヤ顔をきめて言い放つ

あれだけ盛り上がっていた隊員達が嘘みたいに静まり返っている


「だと思いました。言葉が軽いんですよ、あんたの蹴りみたいにね」


精一杯効いてないアピールと共にドヤ顔を仕返してやった。


「「「おぉー!!!」」」


カーツが瞬間冷凍した空気が突沸する。


それと同時にカーツの頭も煙を吐きそうなほど沸騰している。


「うらぁ!!クソ野郎がぁ!!」


激昂したカーツが襲いかかってくる。


冷静さを失ってる。

干渉で思考を加速。

カーツの剣が滑るように角度をずらす。


数合の受け流しを成功させると剣が手に少し馴染む感覚を覚えた

剣術レベルが上がったんか


必死に剣を握らなあかんのは変わりないな

この剣は重すぎて反撃は厳しいな。


カーツがレベル上がった瞬間に1レベルだけ奪うことは可能なんか?


戦闘中に油断してしまったことが仇となる。


受け流しの角度を誤り、受ける形になってしまった。

その瞬間にカーツの口元がニヤリと歪み

膝蹴りで剣を跳ね飛ばされてしまった。


ヤバっ!


「おらぁ!歯ぁくいしばれぇ!!!」


カーツも剣を捨て、殴りかかってきた。


剣術勝負ならまだしも

喧嘩屋のクラスで体術Lv.5を持つカーツと殴り合いでは全く歯が立たない。


「...レッド」

「うん。そこまで!」


グラブの隣に控えていた少女が呟くとグラブがレフェリーストップをかける。


カーツもグラブの制止は素直に受け入れて馬乗りの状態から立ち上がる。


「へへっ命拾いしたな。いつでも可愛がってやるよ、新入り」


カーツは満足げに隊員達の元へ戻っていった。


「散々なやられようだな」


グラブが見下ろしながらニヤリと笑う


「はぁ。。はぁ。。次は勝ちますよ。」


「はっ!意外と負けず嫌いなんだな!」


快活に笑うグラブに引き起こされる


「舌戦はお前の圧勝だったがな」


「終盤に油断しました。」


「それが分かってるなら上出来だ。3日に1回この時間に訓練するからお前も来い」


ボコボコにされ、傷だらけになった体を引きずりながら部屋に戻った。


ステータスに痛覚耐性がついてる。これのおかげで動けてんのかなぁ。


着替えもせず、ベッドに倒れ込んだ。



カーツのステータス

頭痛い。


考えが散るな


決定打のない状態での慢心


口の中が血の味しかしやん。


どうやったら勝てた。

あかん。集中出来ん。


とりあえず、戦闘中に悠長に考え込むのはやめよう。


カーツの痛覚耐性が高かったんは散々ボコられてたからなんやろう。


あいつもあいつで苦労してんのかな。


そんなことを思いつつ意識はベッドに吸い込まれていった。


翌朝、ナタリアの悲鳴で起こされることになった。


「だから私は軍の訓練場なんてやめた方がいいって言ったんです!」


ナタリアに小言を言われながら最低限の手当てを受けた。


痛覚耐性や回復速度上昇のスキルがついてる。

これはこれで有益かな。


「シロカネ様!聞いてますか?」


ナタリアが眉間に皺を寄せて顔を覗き込んでくる


「ごめんね。早く強くならないとこの国のためにならないと思ってさ」


そう言ってナタリアの眉間の皺を伸ばす


残業で帰りが遅いと怒る娘にしていたように


「もう、そろそろ講義が始まりますよ。支度をしないと」


「あ、あぁ・・・そうやな。」


今日の講義は魔法についてか


ここが1番重要やな。


魔法で出来ることが元の世界に帰る可能性に直結するからな。


「あれ?勇者様ボロボロじゃない」

コツコツとヒールを鳴らして講義室に入ってきたのは


魔女らしい大きな帽子を被り


ゆったりとした濃い紫色のローブを纏った女エルフは


魔法講師フィルミーヌ・デュ・ルノーだった。


「無理矢理召喚されたにも関わらず従順に従ってるお人好しかと思ったのに、


意外とヤンチャなのね」


お人好しやと?


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