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問題児部隊

バロンと向かい合う形でソファに座った。



ステータスオープン

名前:白銀 上総 76.4

年齢22

クラス:勇者

Lv.6

HP:25

MP:12

ATK:55

DEF:55

RES:20



スキル:

ナイフ術Lv.3-⅓

回復魔法Lv.2

剣術Lv.1

礼儀作法Lv.1

精神攻撃耐性Lv.1

呪い耐性Lv.1



ギフト:生物のステータスに干渉し、奪い与えることが出来る



これのどこまで見れてるんか・・・



「それでは鑑定させていただきます。…たしか討伐したのはゴブリン4体と聞いていますが間違いはありませんか?」



ちゃんと討伐数とか報告されてんのか。



「ええ、間違い無いです。」



まさかレベル上がるごとに鑑定しに来るとか無いよな?



「・・・レベル1つとは思えないほどのステータスとスキルレベルの上昇ですね。これは経験値増加のギフトという申請と相違ないと思われます。しかし、シロカネ様は剣をお使いのはずなのにナイフ術のスキルが伸びていますね。」



耐えたー。



「戦闘時にゴブリンからナイフを奪って使ったんです。もしかしたらナイフの方が適性があるんですかね?」



「そういうことだったのですね。確かに適性の有無で成長率が変わるものでし、納得です」



咄嗟にギフトの内容を獲得経験値の上昇って言ったのはファインプレーやったな。



「鑑定スキルで何の適性があるかは見てもらえませんか?」



「鑑定スキルでは適性など潜在的なものは見えないのです。シロカネ様はご存知ないかもしれませんが、鑑定スキルは対象のレベル、クラスを見るのが一般的です。王城に勤めている鑑定士である私達でもスキルとスキルレベル、ギフトの有無がやっとなのです」



なるほど。じゃあ変なスキル取らん限りそうそうバレへんか。



「王城の鑑定士って何人いらっしゃるのですか?」



「王城の鑑定士は2人です。鑑定士としてのレベルは私がトップなので鑑定結果に関しては信頼していただいて大丈夫ですよ」



バロンは自信に満ちた笑みで答える。





「鑑定のスキルは発現が稀なのですが、魔物相手の戦闘ではあまり役に立たないので発現してもスキルレベルを上げない人が多いのです。」



マイナー職な上にトップのレベルをしれたのは僥倖やな。



「バロンさんも少数精鋭でお忙しいでしょう。これからは討伐帰りに伺うようにしましょうか?」



「いえいえ、それには及びません。今回はあくまでギフトの内容を確認するためのものなので。今後は時々鑑定させていただく程度になります。」



毎回じゃ無いのはありがたいけど、当然監視は続くか。



「わかりました。その時はよろしくお願いします。」



「こちらこそ、それでは失礼いたします」



バロンはソファを立ち、上品にお辞儀をして部屋を出た。



上総もソファを立ち、フラフラとベッドに向かい、ため息と共に倒れ込んだ。



ゴブリンに切り付けられた脇腹は傷もアザもないが鈍い痛みを感じる。

バスケや柔道部の試合中に感じた時よりも圧倒的に引き伸ばされた感覚。



現代日本で過ごしてきた上総の人生で間違いなく最も死に近づいた瞬間だった。



殺したゴブリン達の死に様が自分に置き換わって脳裏に浮かぶ。

一歩間違えていたらこうなっていたのかもしれない。

上総はベッドに顔を埋めて、静かに震える。



こんなんでもとの世界に帰れるんか...?

無理やり召喚されて、家族に何も伝えられへんまま死ぬとか絶対ありえへん。



「ふー・・・。」



安全マージンは確保しつつ、確実に帰還の方法を探す。

そのためにゴブリンくらい圧倒できるようにならなあかんな。



恐怖を乗り越え、進むべき道を見据えた上総の震えはいつしかおさまっていた。



「シロカネ様?どちらへ行かれるのですか?」



「ナタリアさん、訓練場に案内してもらえますか?」



「え!?今からですか?討伐訓練から戻られたばかりですし、今日はもう休まれてはいかがですか?」



すでに22時を回っており、ナタリアの反応も当然だろう。



「大丈夫です。寝付けそうになくて、少し体を動かしたいのでお願いします。ナタリアさんは先に休んでくださって構いません。案内だけお願いします」



「・・・分かりました。帰りの案内役には代わりの者をおつけします。こちらへ」



ナタリアの案内で地下に降りて行った。



石造りの無骨で広い通路を進む。

次第に夜遅いというのにガヤガヤと騒がしい部屋の前に着いた。



「こちらが王国軍の訓練場となります。王国軍は騎士団と違って粗暴な方が多いので...!」



ナタリアが少し扉を開け、中をのぞいて扉をバタンと閉じた。



「やはり今日はやめませんか?」



怯えた様子でふるふると首を振っている。



「何があったんですか?」



「今訓練場にいるのは王国軍の中でも問題児ばかり集められている4番隊なんです!」



ナタリアは縋り付きながら鬼気迫る表情で訴える



「日中は騎士団の演習場が使えますから!今はやめておきましょう!」



ガチャ

「あぁ?なんだてめぇら。今は4番隊の集団戦闘訓練の時間だぞ」



で、デカい。俺も180cmは超えてるのに、それでも見上げるほどでかい。



腕も太く、まさに筋骨隆々といった男が演習場から出てきた。



ただでさえ威圧感のある風貌なのに体中の傷痕がさらに相手を威圧する。



ナタリアは青ざめて俺の後ろに隠れている。



「王国軍4番隊の方ですか?よければ訓練に参加させていただきたいのですが」



「シロカネ様!?」



ナタリアが驚愕して掴みかかってくる



「ナタリアさんは先に戻って休んでください。帰りは自分で大丈夫なので代わりの人も必要ありません。案内ありがとう。」



「はっ!とんだ命知らずだな!いいぜ、お頭に会わせてやる」



傷痕だらけのマッチョに案内を引き継がれ、ナタリアは1人へたり込んだまま通路に置いてけぼりにされてしまった。



訓練場の中はとても広く、2.30人が怒号を上げて集団戦闘訓練とは名ばかりの乱闘をしていた。



壁際には気絶している隊員らしき人と罵声を浴びせられながら筋トレしている隊員が何人もいた。



それらの前を通り、訓練場の奥の扉の前に案内される。



「お頭!失礼します!」



扉を開け、信じられないほど礼儀正しく入室していった。

中に入るとむさ苦しい演習場の隣とは思えないほど清潔で整った部屋だった。



そこには青い髪に眼鏡をかけた青年がデスクで本を読んでいた。



「こんなところに何用ですか?勇者様」



「え!?勇者?こいつがですかい!?ぐぁ!!」



傷痕だらけのマッチョの鼻に読んでいた分厚い本がクリーンヒットした。

傷だらけマッチョと対照的な線の細いイケメンが立ち上がる



「部下が大変失礼いたしました。私は王国軍4番隊隊長のウォルターです」



「白銀上総です。今日はスキルレベルと戦闘経験を積みたくて実戦訓練をお願いしに来ました。」



ウォルター隊長は顎に手を当て、一瞬沈黙した。

いかにも品定めをするような視線だ。



「分かりました。うちの者でよければ今後もご自由にお使いください。

勇者様の待遇はいかがいたしましょう」



「ありがとうございます。勇者であることは秘密にしていただければ他に希望はありません」



余計な手加減されたら意味ないしな。



「グラブ、今からお前がシロカネ様の世話係だ。最初はカーツと1on1だ」



「はい!勇者殿はどういう扱いで?」



「見習いだ。このまま正式入隊してもらう」



正式入隊ときたか。まぁこの方が都合がいいかもな。



「この方が勇者であることは口外するな。よろしいですねカズサ君?」



青髪のインテリイケメンがイタズラっぽい笑顔を浮かべる。



「構いません。お頭」



上総もマッチョに習って頭を下げる



「分かりやした。最初に言っておくが態度を使い分けるような器用なことは出来ねぇからな。早速訓練といくぞ!カズサ!」



見た目は厳ついけど、竹割ったみたいな性格は気ぃ楽やな



「それで構わないよ。グラブ」



「見習いが呼び捨てにしたんじゃねぇ!」



演習場に戻り、グラブが招集をかける



「今日からウチに入隊することになった見習いのカズサだ。こいつは初日から戦闘訓練がお望みらしい」



グラブはこちらを見ながらニヤニヤしている。



他の隊員もニヤついている者が多い。



「カーツ!まずはお前が相手をしてやれ」



呼ばれて出てきたカーツは小柄でスキンヘッドの男だった。

目つきも姿勢も悪くゴブリンを彷彿とさせる。



「へへへ。殺しちまうかもしれませんぜ?」



下衆な表情で笑う姿はゴブリンそのものだった。


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