意志と魔素
「これ以上はいいわ。魔法の講義だったわね」
汗を拭って講義を始めた。
「この世には魔法とスキルがある。魔法は魔族やエルフ、あとドラゴンくらいしか使えないわ。あ、ケットシーも変わった魔法使うって話は聞いたわね。人間はスキルを使う。これは女神から適応した人間に授けられるものよ。」
女神が実在するのか?
「・・・え?終わり?」
「だってスキルは教えて使えるようになるものじゃないもの」
じゃあ何のための時間やねん。
「人間に魔法は使えないならなぜ魔法の授業が?」
「私が魔法使えるのと、勇者がもしかしたら使えるかもってことなんじゃない?」
・・・じゃあ教えろや!!
「で、では魔法の講義をしてくださいよ」
あかん、顔が引き攣る。
「じゃあ、これ読んでおいてくれる?」
フェルミーヌは一冊の本を渡してきた。
「これは私の師匠の魔法についての本よ。まずはこれが理解できたら教えるわ」
そう言って部屋を出て行った。
「・・・なんやあいつ。まぁええか。」
上総はその場で本を読み始めた。
『魔素概論』 第一章 魔素とは何か
万物は元素によって構成される。火、水、土、風 -古来より語られてきた四大元素は、より精密な分類によって百を超える元素として体系化されるに至った。
魔素とは、それら既知の元素のいずれにも属さない、唯一にして特異な物質である。
空気中、大地、水中 -魔素はあらゆる場所に遍在する。しかしながら、魔素そのものは無色透明にして無味無臭であり、通常の五感で知覚することはできない。
魔素の最大の特性は、意志への感応にある。
人が強く念じ、明確な意志をもって魔素に働きかけるとき、魔素は他の元素へと姿を変える。水を生み、火を熾し、風を起こし、大地を動かす -これらはすべて、魔素が術者の意志に応じて別の元素へ組み替わる現象である。
この現象を、我々は魔法と呼ぶ。
第二章 魔法の原理
魔法とは、一言で述べるならば「意志の力によって魔素を特定の元素に組み替える反応」である。
その成否と威力は、以下の三要素によって決定される。
意志の力 × 魔素の量 × 術理の深さ = 魔法の出力
この三要素のうち一つでも欠ければ、魔法は成立しない。意志が強くとも知識がなければ暴発し、知識があっても意志が弱ければ発動せず、両方を備えても魔素がなければ何も起こらない。
一通り目を通し、本を閉じた。
元素が百を超えるってことはほぼ元の世界と同じくらいの数が見つかってる?
なのにこの文明の発展はおかしいやろ。
それに魔素の特性、意思への感応と変質?
他の元素に変わるとしたら魔素を水素と酸素に変換すれば水になるってのが魔法?
錬金術みたいな感じか。
科学者じゃなかったら使いこなせそうにないな。
元素に変換するだけで炎とか風とかってどうやってるんや?
これは色々検証がいる類やな。
「こんなんやったらスキルがメインになるのはわかる気がするわ」
いや、そんな中での魔道モーターってかなり革新的な技術なんじゃないか?
魔素が物理運動に転化されてる。
この本に載ってない特性がある・・・?
「これは、おもろいな。」




