俺とふたり4
「おはよー、涼」
「あー、おはよう」
俺が耳にイヤホンをつけて音楽を聴こうとした時、突然肩を叩かれるけれど、どうせあいつだ。
『進藤 達也』だ。
「何だお前、今日も元気ないのかよー」
「別に、そんな訳じゃないよ、眠いだけ」
今日も、面倒な関わりが始まると思うと、なんだか少し気が落ちた。だけど、僕は一人で生きられないのだから、人との関わりを面倒にすることは間違っていることも理解している。
俺は、『ふたり』のこんなところが嫌いなんだ。何もかも決めつけて、俺のことを見下すような思想。友達をまるで友達と見ていないその考えに嫌気がさすんだ。そもそも関係のない奴が口を挟まないでほしい。
「あ!そうそう!もうすぐで夏休みだけどよ!予定組んで仲良し四人組で旅行いこーぜ!」
歌を聴いていたかった時に話しかけ、そして先にある夏休みという貴重な休みまでを脅かすこいつは、いったい僕をなんだと思っているのか。
「あー、いいね!それ!」
「だろ!じゃあ三好と茜音にも言っとくな!先行ってるぜー!」
僕が期待に応えるような返答をすると、馬鹿みたいに機嫌を良くして先に走り出す友達。どうして人と言うのはここまでも単純な生き物なのだろうか。
「おい、お前ってどこまで捻くれてんなだ?」
なんだよ、君が思ってることを代弁して問いかけてやってるんだから素直に聞きなよ。そうでもしなきゃいつか忘れちゃうだろ?
俺が『ふたり』に対して文句を言うと、当たり前のように反論してくる。しかし、その反論を反論で返したところで、言い合いが続くだけで、解決なんて一切しない。
「お前が何考えてても文句はないよ、ただ思うだけにしろよ」
嫌だよ。それに、僕の声はお前にしか聞こえないんだからなんの問題もないはずだよ。
ていうか、そろそろ気づいてるだろ?僕に何言っても制御出来ないことはさ。
「御もっともだよ、クソ野郎」
ありがとう、クソ野郎。