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拒絶したのに、今更です…   作者: みかさん
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46/51

46話


二十歳の成人を迎えたマリーは自分に来た求婚状の相手とお見合いをしている。


「もし、私と結婚したら、君の仕事は私が引き継ぐよ。女性には仕事をせず、家に入って欲しいんだ」

『却下…』


「君の仕事を手伝いたい!是非、君の仕事を見せてくれ」

『却下…』


「やあ、やっと会えたね…随分探したよ。仮面舞踏会ぶりかな?」

『却下!!』


「君の黒猫コスプレを見て、一目惚れしました」

『却下…』


まともな奴が1人もいない… どういうこと?

後は、ザックだけになってしまった…


オゼットとローズに話したい事がたくさんあるけど2人は今、王太子妃引き継ぎで忙しい… オゼットはローズに付きっきりで今まで習ってきた事を教えているらしい。ローズは覚えるのが早く、通常より早く終わりそうだとオゼットの手紙に書いてあった。


アルフリードに振られた日… マリーは何日も泣き続けた。お陰で今は少しすっきりしている。まだアルフリードの事を忘れられないマリーだが、前向きに自分の将来の事を考えてられるようになったのだけれど…

見合い相手が悪すぎる… くそか変態の二択しかないのか… だったら、ザックと結婚した方がいいのでは?いやいや、やっぱりザックの事を男として見れない… それなら一層… マリーは最終手段に踏み切るのだった…


◆◆◆


クンクンッ

「匂い取れたかな?」

マリーは湯浴みを済ませるといつもは香水をつけて寝るのだが、それを一切せずにベッドにはいる。身体や髪を洗う石鹸も無香のものを自分で作り、使った。服も新しいものを選び、なるべく匂いのしないものを選んで着た。身体に匂いが移らない様にするためだ。『これで、良し。これならもし、獣人のツガイが居たら私の事分かるよね?あんな人達と結婚するくらいなら獣人の溺愛結婚の方が断然いい!でも、獣人がツガイと出会える確率は10%くらいしかないみたいだし…駄目だったら良さそうな獣人と結婚できれば…でも前のトラウマがあるからちゃんと見極めないとね』マリーは結婚相手を自分で見つける事にしたのである。


◆◆◆


『うわぁ… ドキドキする。もし、ツガイが現れたらそのままお持ち帰りなんて事もあるんだよね…』マリーは1人挙動不審な動きで町を散策する。アルフリード率いる龍騎士のお陰で町の治安は良好だ。マリーはすれ違う獣人をチラチラと確認するが、マリーに興味を示す獣人はいなかった。『おかしいなぁ…』マリーの計画では香水をつけていない人間に興味を持った獣人が話しかけてくる予定だったのに… マリーは疲れて噴水の前に腰を下ろす。


「お嬢さん、珍しいね。お嬢さんからは香水の匂いがしない。本当にヒト族?」


『来た、来た、来た!』マリーは渾身の笑顔で声のする方へ顔を向ける。そこには明らかに龍人族と思われる美男子が立っていた。『大物だ…』


「はいっ。ヒト族です!ちなみに恋人募集中です!」


「あははっ面白いお嬢さんだ。名前は?私はリック。龍人族だ」


「マリーです。宜しくお願いします」

『あれ?こんなに美男子を前にしても全くトキメかない…』


「マリー宜しくね。以前君とは何処かで会ったことがあるような気がするんだけど… まあいいや、もし暇なら一緒に食事しない?勿論奢るよ」


マリーは小さくコクンと頷く。心臓は平常運転だが、このままいくと父にあの男達の誰かと婚約を結ばれてしまう…それだけは絶対に避けなくてはいけない!マリーは覚悟を決めて差し出された手に手を乗せようとした… その時、耳に響く大きな咆哮と共に空から何かがマリーの前に降り立った。マリーは一瞬の出来事で、何が何だか分からなかった。次の瞬間、マリーが気づいた時はアルフリードに抱えられたまま、空の上にいた…


◆◆◆


「キャッ!」

荒々しくベッドに放り投げられたマリーは一体自分の身に何が起きているのか分からないでいた。分かるのは自分がベッドの上にいること、そしてのし掛かるようにアルフリードがマリーに覆い被さっていることだけだった。アルフリードの荒い息がマリーの首にかかるたび、叫びたい気持ちを必死に堪える。


「アルフリード様…」

何とか振り絞って出た声は多分震えていたと思う…

あれだけ私を拒絶したアルフリードが何故今更… 今にも壊れそうな心臓に『期待するな』と何度も言い聞かせマリーは意識を手放した…


◆◆◆


「何故こうなってしまったんだ!」

アルフリードは机を叩き、自分がしてしまった事を悔やむ。しかし、もう後戻りは出来ないな… 結局、自分がしていることは父と一緒だ… マリー嬢を無理矢理自分の部屋に連れていき、鍵をかけ監禁している。もし、あの時マリー嬢が意識を失わなかったら俺は…


アルフリードはツガイ届けを持ち、アンソニーの元へ向かう。そのままツガイ休暇も取る予定だ。ツガイを見つけた獣人や龍人は一年間ツガイ休暇を貰えることになっている。ツガイを見つけたものは仕事が手につかず、途中で帰ってしまったり、ツガイを連れて逃げたり、注意散漫になって怪我をするものが後をたたないためだ。



『マリー嬢すまない… もう君を逃がすことは出来ないようだ…』アルフリードは今も熱く火照る身体を何とか動かすと大空へと飛び立った。


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