44話
「かっこいい!ローズ良く似合ってるよ」
「ありがとう。マリーもかっこいいわ」
今日は学園祭当日、マリーとローズは更衣室で男装中。元がいいローズはアンソニー顔負けの美男子に変身していた。オゼットは衣装とメイク係で只今男子を着せかえ中。朝から張り切っていた。
アンソニーは公務のため、遅れてくるらしい…
「どう?上手く出来たと思わない?」
「やだ、ザック可愛い~」
短かった黒髪はカツラによってロングに紫の瞳は付け睫のお陰でより一層色気を醸し出す。まさに セクシーお姉さんである。ザックは「くそっかっこわり~」と呟いていたけど…
「では、開店しまーす」
開店と同時にたくさんのお客さんが詰めかけ、2年前と同様、凄い賑わいをみせた。
「そろそろお昼が過ぎたから順番に休憩にしよう!アンソニー様も到着して今、オゼットに着替えさせてもらってるみたい。この後 忙しくなるよ~」
「そうね。そうしましょう」
その時、誰かが列を割り込んで教室へ入ってくる者がいた。
「ハイアーン家の令嬢はいるか!」
それは、オゼットの従兄弟 カイザーだった。カイザーは目の前にいるのローズに全く気付かす、懸命にローズを呼び続ける。
「カイザーお兄様!どうなさったの?」
声を聞き付けたオゼットが慌ててカイザーに詰め寄る。
「おお、オゼット!ハイアーン家の令嬢はいるか?今すぐ会いたいのだ!」
「お兄様、大きな声を出すのはお止めください。ささっこちらへどうぞ」
オゼットは男子更衣室へとカイザーを連れていく。
「さ、説明してください。お兄様は何故ローズを探しているのです?他の方にも迷惑を掛けて…わたくし、恥ずかしいですわ!」
オゼットの迫力にカイザーは反省したようで水の無い花のようにシュンとしおれる…
「す、すまない… つい、頭に血が昇ってしまって… 実はオゼットと夜会で会ったあの日、美しいハイアーン嬢を気に入ってしまってな… 直ぐにハイアーン男爵家に求婚状を送ったのだよ。私は直ぐにでも婚約をしたかったのだが、ハイアーン家当主からの手紙はいつも時間を頂きたい だったのだ。だから婚約は遅らせてもいいから娘に会わせてくれと何度もお願いしたが、娘は学業で忙しい身なので卒業するまで待ってくれ の一点張りなんだ!居ても立っても居られなくなった私はこうしてハイアーン嬢に会いに来たと言うわけさ。そして直々に求婚する予定だ!だから会わせてくれ…」
「お話は聞かせて頂きましたわ。私がご相談に乗りますわ」
仕切りのカーテンが開かれ、そこから金髪の絶世の美女が現れた。カイザーは口が開いたまま顔を赤らめボーと美女を見つめている。
「アンソッ…んっー!」
「しッー!オゼット私に任せて」
オゼットは謎の美女に口を塞がれながら、コクコクと頷く。美女はオゼットから離れるとカイザーへと近づく。カイザーは顔を赤らめたまま、おろおろとうろたえ始めた。
「ねぇ、そのハイアーン家の娘はそんなに美しいの?」
カイザーは「あっ…いや…貴女程では…」と言いながらチラチラと美女を見ている。
「私、アンって言うの。貴方の事、気に入ってしまったわ。是非、一度貴方のお父様に会わせて頂けるかしら」
「それはもしかして私と…」
アンはカイザーに優しく笑いかける。
「こうしては居られない!オゼット、私は家に帰る!ハイアーン家に求婚状の取下げを行わなくては!では、アン様また後程…」
カイザーはアンにウインクを飛ばすと勢いよく更衣室を飛び出していった。
「ちょっとアンソニー大丈夫なの!」
「ああ、これで唯一反対している君の叔父上にも直接話が出来るよ。マリンピスト家には再三会いたいと伝えているんだが、忙しいからの一点張りでね。だが、これでやっと…」
鏡に写った自分の姿があまりにも母親にそっくりでアンソニーは複雑な笑みを浮かべていた…
◆◆◆
「学園祭が終わればあっという間に卒業ね… なんだか寂しいわ。マリーとローズと離れ離れになるなんて」
「そうだね。色んな事があったもんね」
「ええ、でも私達ずっと友達でしょ?」
「ねぇ、最後の卒業パーティーはお揃いのドレス着ていかない?」
「そんなの初めて聞きましたわ!みな被らないようにドレスを選ぶのに合えてお揃いにするなんて…」
「私は賛成です!大好きなマリーとオゼットと一緒なんて嬉しいです」
「オゼットは?」
「… いいわ!お揃いにしましょう!ですが、わたくしが決めますからね?それでいいなら許しますわ」
「じゃあ決まりね」
『これで、私達が凄く絆が深い証明にはなる。卒業パーティー… 断罪イベントの回避できてるよね?』
◆◆◆
『うわぁー流石、卒業パーティー…規模が違うわ…』無事に卒業式を終えたマリー達は卒業パーティーに参加するべく、ドレスに着替え会場に向かった。アンソニーの卒業とあっていつもより豪華に彩られた会場には、たくさんの食べ物やお菓子がズラリと並んでいた。学園長の挨拶が終わると、次は生徒代表アンソニーの挨拶が始まった。マリーはドキドキする心臓を必死で抑えながらその時を待つ… 挨拶を終えたアンソニー『いよいよだ!』
「ここで皆に伝えたいことがある!私、サマンサ・アンソニーとマルクス・オゼット公爵令嬢はこの場を持って婚約解消とする!」
会場にどよめきが走る…
「そして、サマンサ・アンソニーは新たにハイアーン・ローズ男爵令嬢と婚約を結ぶ事になった!そして並びにマルクス・オゼット公爵令嬢はクリントン・ジョルズ子爵令息と婚約を結ぶ。皆、暖かい目で見守ってくれ」
ローズとオゼットに目をやると、2人は顔を真っ赤にして幸せそうな顔をしていた。
「良かったね。おめでとう!」
「ありがとうマリー。貴女にこんな形で知らせる事になってしまってごめんなさいね… アンソニーに誰にも言うなと口止めをされていたから」
「ごめんね、マリー。本当は相談したかったんだけど…」
マリーは2人をぎゅっと抱き寄せると「本当に良かった」とわんわん泣き出した…




